業績外:1996

雑誌『地理』「読者の書評」への投稿(2篇).


『全国駅前銭湯情報 '94〜'95』

鉄道を愛する旅人の会編
B6判 三四四頁 定価一三〇〇円
発行所 STUDIO夢銀河
発売元 新日本企画 〇三-五三七三-〇四六一
一九九四年発行

 「旅の一日の終わりは銭湯で……」。本書はJR線を中心に、全国五二七の鉄道駅に近い銭湯や温泉の類七七七カ所を、詳しいデータと地図で示したガイドである。編集陣は、筋金入りの「テッチャン」にして「風呂好き」。同好会誌的なワープロ文字のレイアウトと、随所に散りばめられた列車の写真、スタンプ、切符などがいかにも、といった感じである。評者も若い頃は、学会に行くときにも調査に行くときにも車中泊が多かった。車中泊と野宿にたよる貧乏旅行者にとって、本書は力強い味方である。
 本書は、スタッフの一人が、一九八九年に作った「ホチキス綴じの小冊子」起源をもち、一九九三年に最初の自費出版が行われた版を大幅に改訂したもので、今のところは最新版になる。編集者に問い合わせたところ、現在、一九九六年七月の改訂版発行を目指して作業中とのこと。新たな情報の提供も求めているという。
 本書は地理学の本ではないが、数多くの地理屋、地理好きにとって間違いなく役立つ一冊だろう。入手は、発売元の直販が早そうだ。


『STBのすすめ[増補・全国版]』

STB全国友の会編
新書判 三六八頁 定価一五〇〇円
どらねこ工房(京都) 〇七五-七一一-六四四八
一九九五年発行

 「STB」は、「ステビー」と読む。「ステーション・ビヴァーク」すなわち「駅に泊まること」は、山屋さんのみならず、さまざまな旅好きの間に愛好者が広まっているという。一九八七年には「STB全国友の会」が結成され、本書の前身となる[北海道・信州版]が刊行された。その後、一九九四年に[全国版]が出され、その改訂版が、この[増補・全国版]である。
 もちろん本書の中心は、全国のJR線・三セク線の路線を示し、相当数の駅について実際の経験を踏まえたコメントが書き込まれた「全国宿泊可能駅一覧」である。しかし、STBの<思想>を語っている「STBの手引き」の部分や、四〇頁以上に及ぶSTBの体験談も興味深い。本書が提起する、倫理としての「STB憲章」などは<放浪>にも近い<旅>の経験から見えてくる、社会規範の根幹にかかわる感性の表明のようにも思われる。
 本書は、貧乏旅行に出る地理屋にとって役立つ一冊だろうし、<場所感覚>といった視点から読み解いていくテクストとしても興味深い。入手は、発売元の直販が早そうだ。


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 ここで紹介した2冊のうち、『STBのすすめ』は、2000年に[定本準備号]が出ています。この中には、『全国駅前銭湯情報2000年版』の広告も出ているのですが、問い合わせたところ2001年夏以降の刊行となる見込みだそうです。
 詳細はそれぞれの発売元にお問い合わせ下さい。
[2001.04.05.]


雑誌『地理』「読者の書評」への投稿:1997年
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