私的ページ:山田晴通
山田が聴いている音楽(CD)
(1997年)
山田は、ポピュラー音楽についていくつか文章を書いていますが、聴いている音楽の内容は、決して専門的だったり、マニアックだったりということはなく、浅く広く、表層的です。
好きな音楽、コメントすべき音楽について触れていくときりがないので、ここでは、このページ作成作業をしているマックで山田がかけているCDの紹介を中心に、山田がふだん実際に聴いている音楽を、近況報告風に紹介していきます。
CD紹介は、書き込みが新しい順に並んでいます。( )内は、レーベルと発売年月日です。
このページでは、1997年に書き込んだ内容を保存公開しております。
///(1998年)///(インデックス)///
1997年
- 1997.12.17.記:ブルジョワで悪い?
- PIZZICATO FIVE『INSTANT REPLAY』(TRIAD/日本コロムビア:1993.03.21.)
- PIZZICATO FIVE『EXPO2001』(TRIAD/日本コロムビア:1993.11.01.)
- PIZZICATO FIVE『A TELEVISION'S WORKSHOP E.P.』(TRIAD/日本コロムビア:1994.02.10.)
ピチカート・ファイヴは、これまで1枚も持っていなかったのだが、ふと思い立って、行きつけの中古レコード店の棚にあった12枚を一挙に買ってしまった。ここ3日間に一通り聞いて、印象にのこったのが上にあげた3枚。
野宮真貴をフロントに据えたピチカート=小西康陽=のコンセプトは、現代都市生活者の、あるいは「シブヤ系」のライフスタイルの開き直り的な全肯定である。その意味では、チャック・ベリーの歌詞が、当時の常識的な価値観をひっくり返して都市文化/消費文化をあからさまに賞賛したのと同じ構図で、ピチカートの位置を捉えることも可能であろう。
しかし、テクノを下敷きにした音の構成、噛めば噛むほどといった感じの凝ったトラック、等々の印象は、野宮のイメージの虚構性とも重なって、複雑な屈折を呑み込んだメッセージとして作品を提出する。「キャッチー」の詞の多義的な印象などは、そのわかりやすい例といえるだろう。特にライブ(『インスタント・リプレイ』(5))における小西のシャウトするリーディング(ラップではなくポエトリー・リーディングのノリだ)を聞くと、この感は強くなる。しかし、これは非=ピチカートマニアとしての感覚かも知れない。僕の知っているピチカートマニアはもっとあっけらかんとピチカートを聞いているようだ。
いずれにしても、ピチカートは、意識的に演出された部分ばかりでなく、様々な側面を、様々な角度から見て過剰な読みとりを試みたくなる対象だろう。キーワードの反復と変奏、パッケージのアートワークにおける演出など、話の切り口は無数に用意されている。しかし、それはピチカートマニアに任せておくことにしよう。
- 1997.12.08.記:カバーの応酬。
- V.A.『MOTOWN MEETS THE BEATLES』(MOTOWN:1995)
解説によるとビートルズはMOTOWNの曲を3曲カバーしたという。これは、そのビートルズの曲(他にジョンの Imagine、とポールの My Love)をMOTOWNの側がカバーした戦果を集めたコンピレーションである。何を歌っても自分たちのスタイルになる Four Tops と 何を歌っても可愛い気のある The Supremes がそれぞれ3曲。その他、Diana Ross、Stevie Wonder、など全17曲が収められている。その大半は、まだビートルズが現役だった時に、アルバム収録曲として録音されている。しかし、何といってもこのコンピレーションの白眉は、ほとんど原型をとどめていないとさえ思わせる (5) Marvin Gaye / Yesterday である。解説が「この世のものとは思えない ethereal」と評したのも頷ける。これ1曲のために買ってもいいくらいだが、原曲とは違ったタイトでスクエアな感じが魅力的な(1) The Supremes / A Hard Day's Night、若々しい声で力強く歌われる(3) Stevie Wonder / We Can Work It Outなども是非聴いて欲しい。
ところで、ビートルズがカバーした3曲ってわかりますか?
わからない人はこちらをのぞいて、Beatles を探してみましょう。
- 1997.11.29.記:技術大国は、ワーカホリック大国か?
- V.A.『Pacific State』(ソニー・ミュージック・エンタテインメント:1997.09.01.)
このところ原稿の締切やら、学会の事務系の作業やらが立て込んで、ワーカホリック状態が続いている。作業効率を上げるのは、駆り立てるようなインストゥルメンタルの音楽、というわけで、ここのところの愛聴盤、というよりCDを取り替える余裕もなくこればかり聴いていたCD。
日本のテクノを英国/ヨーロッパへ紹介する目的で編集された2枚組(21曲)。ブックレットには、インタビューを踏まえた各アーティストの紹介があり情報は豊か。インタビューの際の誤解・すれ違いもいろいろあり、その事情を補う訳注がけっこう面白い。
もともと週刊朝日'97.10.10.(p142)に載っていた保前信英という(知らない)人による紹介記事を見て取り寄せたもの。もっとも、「週刊朝日も若い人向きの記事を載せている」というわけでもなく、ページには細野晴臣の写真が載っていた(せめてケン・イシイだったらと思う)。
(1997.12.17.追記:レコード店で輸入盤を見つけたが、ジャケットにマンガが入っていたりして、印象はだいぶ違う。それだけでも買ってもよかったのだが、3500円は高いと思ってやめてしまった。)
- 1997.11.01.記:何を今さら...。
- 紫『MURASAKI WHY NOW... ? / PEACEFUL LOVE ROCK CONCERT』(ビクターエンタテイメント:1995.03.24.)
大学は学園祭。連休中だけど、会議やらイベントやらで、大学に貼り付き状態。
沖縄ロックの伝説<紫>が、解散後に1度だけ最盛期(1975-1977)のラインナップで大きなステージに立った1983年のライブの記録。アルバム初出は1987?年、CD初出は1990年のはずだが、レーベルの移動等で、手元にあるのは1995年盤(パッケージの異同等は不明)。収録された8曲のうち、お約束の(7)Smoke On The Water 以外は紫のオリジナル曲で、ほぼ全面的にジョージ・紫の音楽であり、彼がもっている「初期」ディープ・パプル的な色彩が強く染み込んでいる。
(さらに11年後の1994年、「同窓会」をやった紫についてはこちらへ。今年、宜野湾市で行われたライブは、そのまた3年後ということになる。)
- 1997.10.28.記:トリビュートいろいろ。
- V.A.『Common Thread: The Songs of the Eagles』(Giant Records:1993)
もう4年前の企画物だが、最近見かけて買い求めた輸入盤である。
トリビュートとは謳っていないが、イーグルスをカントリー音楽の側から取り上げた試み。収益の一部はソローの『森の生活 Walden』の舞台となった Walden Pond 一帯の買い上げ保全運動に回されるらしい。
私は、(授業で取り上げるような古典は別として)カントリー畑は暗いのだが、Trisha Yearwood、Tanya Tucker といった私でも知っている歌姫たちの名も並んでいる。最初からあんまり期待しないで聴いたせいか、どの曲もおしなべて好感を持てる仕上がりになっている。アレンジは全般に原曲の雰囲気をよくフォローしていて、まるでカラオケなのだが、そこにカントリーらしい味付けがお洒落に加わっている(カントリー音楽には「声」の様式美があるようだ)。総じてこのコンピレーションは、1990年代のカントリー音楽界の元気さを反映しているといえるだろう。
- V.A.『Stairway to Heaven』(East West Japan inc.:1997.06.25.)
一方、ちょっぴりだけど期待したのに、やっぱり外してしまったトリビュートといえば、今年の夏に出たコレである。いえ、その、頑張っているのはよく判るんですけど.....。
平野和祥氏のライナー曰く「さきのトリビュート作品「ENCOMIUM」がZEPPELINの現在的・理論的解釈を示したものだったのと比べて、本作のZEPPELIN解釈はいわば時代の流れを超えた次元での感覚的な方向性のほうをダイレクトに捉えている」云々...。要するにひねりも工夫もなく、カバーした感触なのだ。しかしこれでは、オリジナルを聴いた方がいいんじゃないか???(ちなみに私は、「ENCOMIUM」を高く評価している。)
(8)The Song Remains the Same では、日本人のヴォーカリスト・渡辺忠士がフィーチャーされているが、率直なところ可もなし不可もなしという感じ。今後に注目したい。
- V.A.『A Tower Records Tribute to the Beatles』(Tower Records/EMI-Capitol Music:1996)
トリビュートといってもいろいろあるが、これみたいに、バラバラに発表されたカバー曲を集めた編集盤は、本来の意味のトリビュートとは違うような気がする。まあ、これはこれで、(2)Joe Cocker: With A Little Help From My Friends、(5)Ike & Tina Turner: Get Back、といった古典から、Dr. John、Bobby McFerrin、といったところまでいろいろ入っているから、資料集的な利用価値が高いのだが、やっぱり「あざとさ」が先に立つ。
- V.A.『抱きしめたい』(東芝EMI:1989)
ビートルズのトリビュートといえば、こっちの方がよっぽど素直だろう。出来は玉石混淆だが、ネタは簡単に割れるとはいえ、(5)加藤和彦「ハニー・パイ」、(7)ちわきまゆみ「ア・ハード・デイズ・ナイト」などお洒落な路線から、(10)VOW WOW「ヘルター・スケルター」、(13)SHOW-YA「ブラック・バード」まで、作る側が楽しんでいるのが伝わってくる。(でも今聴くとコレ自体がノスタルジーなんだよね。NOBODYなんてどうしているんだろう???)
- 1997.10.27.記:月曜日は中古CDの日。
- Cibo Matto『VIVA! La Woman』(Bad News Records:1996)
月曜日は、非常勤講師の仕事の帰り道、思わず中古CD屋に入ってしまうことが多い、というより入らない日の方が圧倒的に少ない。元々私は新品のCDと同じくらい中古のCDを買っているのだが、このところ後者の比率が高くなっているようだ。考えてみると、住宅ローンを抱えてから新品のボックス・セットとか買ってないなア。(^^;)
知る人ぞ知るチボ・マットは、ニューヨークで活動している日本人女性二人のユニットである。チボ・マットの音を聴いたのは、今年の7月のIASPM金沢大会でジェニファー・ミリオトさんの発表が最初だった。シングルが結構売れたという(5)birthday cakeのようなド迫力のおばさんノリ(「黙って食べな〜!!!!」)が、一番素直に楽しめたが、後はちょっと小難しい気もする(ゴメンナサイ、1回目に通してかけているうちに後半は寝てしまいました)。でもボーナストラック(13)aguas de marco のようなお遊び感覚は聴いていて気持ちよい。何度か聴き込んでいるうちに、フェミニズムだの何だのという意味の読みとりを通して聴くことがふさわしいのかどうかだんだん判らなくなってきた。
チボ・マットをフェミニズムの文脈で聴く人にとっては、こんなこと言うと父権論的な反動的言説だということになるだろう。しかし、逆に、そうした硬直した姿勢自体が、むしろ戦略的に戯画化されているような気もするのだ。「単なる」ファッションとしてのフェミニズムではなく、軽やかにファッション化さえしてしまうフェミニズムというような位置づけが、彼女たちにはふさわしいのではないか?.......いずれにしても、日本で、平凡な日常に身を置いたまま、彼女たちのことを判ったような顔をして語るのは欺瞞だろう。その意味では、私の中では、小野洋子を理解する(誤解から救い出す)ことの困難と重なる困難がチボ・マットにも感じられるのである。(どうも私は<前衛>にはついてゆけないようだ。)
(1997.12.08.追記:ちなみに私が買ったのは日本盤。米国盤はジャケットからしてそれ風!)
- 安室奈美恵『Dance Tracks Vol.1』(東芝EMI:1995.10.16.)
そこへいくと、これは判りやすい。結婚記念というわけではないが、初めて安室のアルバムを買った。安室の最初のアルバム=先「小室」紀=は、ユーロビートのアジア的な消化だったということがよくよくわかる。ぺらぺらした電子音の快感については、そのうちちゃんと考えなきゃいけない。
(1997.12.08.追記:ちなみに、安室奈美恵の公式サイト(www.amuro.com)では、この時期=先「小室」紀=は完全に無視されているようです。東芝のサイトにあった安室のページもなくなった今、この時期を含めたディスコグラフィは個人のサイト=例えばここ=にしかないのかな。)
- 1997.10.24.記:リサイクル?CDの山から。
- Janet Jackson『Design of a decade 1986/1996』(A&M Records:1995)
レンタルCD屋が、CDの入れ替えで要らなくなったやつを大量に出し、それを中古業者がいい加減な値段で、デパートの催事場なんかで売っている。そういうCDは、ケースやリーフレットだけでなくディスクも痛んでいる可能性も高いし、いろいろシールが貼ってあったり加工してあったりと、通常の中古CDよりも価値がないものとされている。でも、とにかく割安なのが魅力で、何となく何時でも買えるからと買いそびれている音源があると買ってしまうものである。......などと、くどくど自己弁護しないとちょっと恥ずかしいけれど、ともかく昨日、国分寺の駅ビルで買ってしまった8枚のうちの1枚がコレ。もっともコレは、レンタル用ではなかったが...。
たまたまここ数日は安室奈美恵の話題で世間は持ちきりだが、おそらく彼女は90年代半ばの日本において、90年前後のジャネット的な役割を果たした存在だったのかもしれない。そう仮定すると、もうちょっと、いろいろなことが考えられそうだ。このベスト盤は、3枚のオリジナル・アルバム「Control」(1986)、「Rhythm Nation 1814」(1989)、「Janet.」(1993)を中心に選ばれた18曲から成る贅沢な内容になっている。
ジャネットは間違いなく音楽界というよりは芸能界の住人であり、シングルに価値があるアーティストであり、それ故にベスト盤があればそれで済むといった面がある。質の高いエンターエイメントという意味では、いつまでも色褪せないだろうし、いつ聞いても懐かしいのかもしれない。
(ちなみに、ジャネットは、以前「ビデオ・クリップとダンス」を書いたときに最もインスパイアされたアーティストだった。)
- 1997.10.16.記:しばらく何にも書かなかったので、この間よくかけていたCDを紹介します。
- 木原さとみ『カーニヴァル』[シングル](Epic/Sony Records:1995.10.21.)
あれは9月2日、偶然入った相模原のコンビニで、耳に止まったのがこの曲。もちろんカーディガンズのヒット曲の日本語カバーだが、歌っているのが誰か判ったのはJASPM-MLと大西さんのお陰。
木原さとみは、元東京パフォーマンスドール(通じる人にはTPDで通じるらしい)というが、まったく知らなかった。彼女についてはさこP氏のページから情報を得た。最終的には、氏にレコード番号を教えてもらったおかげで、このCDを入手することができた。
音はペラペラだが、原曲のおしゃれな感じがよく伝えられたカバー曲だと思うし、聴いていて気楽に楽しめ、聞き流せもする。でも、そこがまたブレイクしなかった理由のようにも感じられた。
- 1997.08.19.記:以下のCDは13〜14日にかけていたのですが、コメントする暇がなかったので、後追いで書きます。
- V.A.『スパイダース大作戦 TRIBUTE TO THE SPIDERS』(ALFA MUSIC:1996.08.28.)
- ムッシュかまやつ『THE SPIDERS COVER'S』(FOR LIFE:1989)
スパイダースは、数あるGSの中でも、音楽性という点から最も重要だった。彼らは、リアルタイムのイギリスの音楽を十分に理解し、その上で「ボーイズもの」さえ連想させるユーモアを加味して、多数の佳曲を作っていた。オリジナルではなく、ノスタルジアとしてのカバー・バージョンで聴くと、そうした背景がよく見えてくる。
最初の1枚は、若手バンドを中心にしたトリビュートだが、(5)暴力温泉芸者「あの時君は若かった」のような大胆な再構成の試みは例外的で、かなりストレートな仕上がりになっているものが多い。ボーナス・トラック(12)ムッシュかまやつ「バン・バン・バン」は、生ギター1本のタイトな演奏でとても良い(この1曲だけでも元がとれた気分)。
ムッシュのかっこ良さをもっと堪能できるのが、もう十年近く前に出たもう1枚の方である。やっぱりスパイダースは偉大だ。
- 1997.08.13.記:お盆中なのに研究室にこもっています。
- JuJu Club『16/20』(ROCK RECORDS & TAPES (Korea):1996)
5月の韓国旅行で買ってきたCDの中の1枚。
JuJu Club というからキング・サニー・アデかなと思うともちろん全然違う。女の子のヴォーカルと男二人のユニット、というとドリカムのようだが、ジャケットの雰囲気だとむしろリンドバーグ。レコード屋のおやじさんに一押しのポップスが欲しいといったら出てきたのがこれだった。
音を聞くとヴォーカルの声質(何とも言えないべたべたの地声風)にびっくりさせられる(特にCD前半のノリがよい曲)。これは黛じゅんか、はたまた山瀬まみのロック・アルバムか?ビョークもびっくりしそうな勢いがある。
ともかく前半のノリはよい。タイトル曲の(2)「16/20」(あなたは十六、私はハタチ[邦題:16/20])をはじめ、しっかりロックしている。全体に歌謡曲的なフレーバーもあるが、それでも、もろにカーディガンズの「カーニバル」をパクった(5)「私があなたを想うとき[邦題:キミが欲しいとき]」に典型的なように、おしゃれに仕上げようという感じが強い。ひょっとすると韓国のピチカートか?
後半はゆったりしたビートが多くなるが、アコースティック仕立てになっている一番最後の(10)「今はイヤ[邦題:今はもう]」がシンプルで美しい。もっともこれも、ニュー・オーダーをカバーしたフレンテの「ビザール・ラブ・トライアングル」辺りが下敷きかもしれないけど。
ともかく、一聴の価値はあるので、研究室に遊びに来てリクエストして下さい。ちなみにヴォーカルの名前はチュ・タイン。漢字表記は無いけれどおそらく姓は朱で、韓国ではJuと英字に転記するから、バンドの名は「朱朱クラブ」と解せる。う〜ん、米米クラブまで出てくるか......。
(1997.08.19.追記:ルーシー川村さん、韓国語の誤読のご指摘、ありがとうございました。このバンド、日本盤も出ているそうです。知らなかった。///1997.12.17.追記:日本盤を買いました。2枚目のRANISANISAFAと一緒です。曲の正規の邦題を追記しました。)
- 渋さ知らズ『SOMETHING DIFFERENCE/サムシング・ディファレント』(地底レコード:1994.06.01.)
あの〜、タイトル横文字とカタカナで違うんですけど....などといっても無駄。何しろ「音の治外法権。最強の地底集団」である。それこそ知る人ぞしる世界の住人だが、知らない人のために、十九世紀の人類学者のように独善的に言うと、フリージャズをビッグバンドでやるために、ラテン・リズムを組み込んだ音楽をやっている種族である。かつて<あの>ナツメグから出ていた2枚を含め、現在は5枚のCDが(ほかに、メンバーの一部が構成する渋さチビズ、フェダインのCDも)地底レコードから出ている。
レピッシュを知ったときも、スカパラを見たときも思ったが、こういうバンドが成立するだけ日本の管楽器文化=ブラス・バンド文化も成熟したのだなあと、改めて思ってしまった。この八月にはライブ・ツアーでテント会場を回るが、千秋楽は松本なのである。これは出かけるしかないだろう。
(1997.08.27.追記:というわけで、しっかり松本のライブを見てきました。)
- 1997.08.04.記:金沢→仙台→これから穂高。慌ただしい中、研究室に立ち寄った。
- ZINGI『ZINGI』(FILE RECORDS:1991)
ZINGI『TOKYO TRIBE』(VICTOR ENTERTAINMENT:1996.02.21.)
気になっているのだが、買いそびれたままになっているアーティストというのは結構多いのだが、JASPM/IASPMの大会で出かけた金沢のジャングルレコードでは、いろいろ目についた中古盤を買い込んだ。この2枚もその一部。
MC ZINGI 率いるZINGIはMTVJapanになる前のPower Channelの東京フリークでライブを見て以来、気になりながら1枚も買っていなかった。『ZINGI』はその当時の疾走感に溢れる1枚。『TOKYO TRIBE』は最近の彼らの成長/屈折/洗練が反映された1枚。この間に何枚もあるはずだが、この2枚だけでもこのユニットの戦略的な位置と姿勢は良くわかる。『TOKYO TRIBE』は、リズムもゆったりとした曲ばかりだが、前半は概して少々凝りすぎ?の感があるが、後半((7)我道烈伝、以降)はグルーヴを感じさせる(ただし、音がちょっと綺麗すぎる)。やっぱりトラックは、ウルトラQからツェッペリンまでが響く『ZINGI』のノリが個人的趣味には合っている。
- 1997.07.18.記:こんなCDを独りぼっちの研究室で聴いているのはちょっとね。
- Marvin Gaye『VULNERABLE』(Motown:1997)
1984年に父親に射殺されたマーヴィン・ゲイの「新譜」は、彼のお気に入りのバラードのスタンダード・ナンバー集である。ライナーによると、この企画は1960年代に始まったものだという。1967年に最初の録音がされた後、1970年代末に一連の曲が再録音され「The Ballads」という仮題で発売寸前までいったものの、(移籍問題なども絡み)お蔵入りになっていたそうである。確かに、古風で野暮ったいくらい甘美なオーケストレーションと、マーヴィンの声はどこか似合わないところがある。それでも、ささくれだった神経で仕事に追い立てられている身には、一曲一曲がせつなく滲み入るように響いてくる。カップルにはお薦めだが、一人で浸るのはちょっと惨めかな?
- 1997.06.20.記:ドイツみやげ。
- V.A.『RAI RAI』(La Voix du Maghreb:****)
6月中旬にドイツへ出かけたのだが、その収穫の一つが、少し前に、論文で紹介されているのを読んで興味を持っていたアルジェリアのポピュラー音楽<ライ>を集めたこのCDだった。ドイツ行きのルフトハンザ機中でもヨーロッパ・ワールドミュージック・チャートなる怪しげなプログラムでは、冒頭の一曲と締めくくりの一曲/つまりチャート1位が、フランス語で歌われたライだった。ケルンのCD量販店ザトゥーン(SATURN)のアフリカ音楽の山から選んだこのCDには、フランス語のライはないが、ペラペラのキーボード、機械的なビートとアラブ風の歌唱のハイブリッドが、妙に心地よい。でも続けて聴くと飽きそうかな?(^^;)
- 1997.06.上旬.記:今日(1997.06.20.)、このページが壊れたので、消えてしまった分を再度簡単に紹介します。
- 東京ビートルズ『meet the・東京ビートルズ』(Victor Entertainment:1994.01.21.)
数年前、CDでの復刻が話題になった<あの>東京ビートルズを、中古屋で見つけたので買ってみた。高田文夫の「東京ビートルズの全四曲がこうしていま聴けるというなさけなさをみんなで分かちあいたい」というコメントが全てを言い尽くしているが、厚家羅漢名義で大瀧詠一がしたためている「東京ビートルズは何故生まれたか」は、ちょっとした論文並のボリュームと、アカデミックな緻密さと、音楽への深い愛情が盛り込まれている。
- 李博士(イ・パクサ)『アッサ! 李博士2集』(オラシス:1990)
情けないといえば、先月の韓国渡航の際に釜山で求めた李博士も半端じゃない。電気と絡んだ、一瞬の「ポンチャック」ブームがなければ、絶対にこんなもの聴かなかっただろう。釜山では、『アッサ! 放浪サーカス 李博士3集』、『歌いますのは李博士4集』と、店にあった3枚を全部買ったのだが、よく見ると録音は全部1990年で、1、3、5月に録音されている。当然「第1集」もあるのだろうが、この集中ぶりとその後のCDの不在?は何なんだろう。しかもCDの番号が発表順になっていないのも、いかにもケンチャナヨ(まあ、どうでもよかろう)である。音の方は、単純素朴、何の変化球もないペラペラの正しい「チャンチャカチャン」だ。これを心地よく聴いてしまう自分の耳が情けない。
- 1997.04.10.記:ほのぼのカントリー日和。
- V.A.『Hillbilly Fever ! Vol.1: Legend Of Western Swing』(Rhino/Sony Music Special Products:1995)
昨年の「ポピュラー音楽史概説」で、Yazoo と並んで便利な音源を提供してくれたのが Rhino レーベルだった。これは、4枚シリーズ(実際はもっとあるのかもしれないが)のうちの1枚で、1930年代のスウィング黄金時代に、その影響下に誕生した「特異な」スタイルとされる Western Swing を18曲、1950年代までの範囲でクロニクル式に並べたもの。
スウィングの立場から見れば、田舎くさい紛い物であり、カントリー音楽からすれば、時流に迎合した徒花、という Western Swing の不幸な位置づけが、よく見通せる。偏見抜きで素直に楽しめるCDでもある。ハワイアンの影響もあるらしい(2)Taking Off - Milton Brown & His Browniesや、ひたすら楽しい(9)Southern Belle (From Nashville, Tennessee) - Curly Williams & His Georgia Peach Pickers など、面白い曲が多い。
- V.A.『Le Gran Mamou: A Cajun Anthology』(Country Music Foundation:1990)
これも昨年の「ポピュラー音楽史概説」用に求めたもので、ケイジャンの古い録音集。The Historical Victor Bluegrass Sessions 1928-1941 Vol.1 というサブタイトルがあるので、Vol.2 以下もあるのかもしれない。
- 1997.03.21.記:今日はサイトのあちこちに手を入れた。ずっとかかっていたCDは?
- Led Zeppelin『LIVE IN CLEVELAND 1977-Part 1 & 2』(ブートレッグ:International Pop:1994)
1977.04.27、クリーブランドでのライブの海賊版。ツェッペリンは、山ほどブートレッグがあるわけで、ブートレッグの知識でマニア度が計れる。もちろん私はマニアではなく、ただの中年ロックおやじにすぎないのだが、やはり数枚はその手のライブをもっている。この2枚は駅のコンコースで売っている類のCDで、イタリア企画=イスラエル製造盤と、怪しさのポイントも相当高いが、もっともらしく日本語解説もどきの紙も入っている。
一部に音が飛んだりするトラックもあるが、音質もかなり良いし、演奏も(曲によって好みの差がでそうだが)良いものが含まれている。私の好みは、Part1(4) In My Time of Dying、など。
- 1996.03.15.記:仕事をしなきゃいけないのに、さぼってしまう日だ。
- The Street Sliders『RARE TRACKS』(Epic/Sony:1992.03.01.)
こんなのかけると仕事をする気は確実に崩壊する。1984〜1989年に発表された12インチシングルなど、ヒット曲(?)のアルバム未収録バージョンのコンピレーション。「本物」のストーンズより、スライダーズの方が面白い、と感じてしまう自分のセンスは実に情けないのだが。
- 1997.03.14.記:松本の中古屋で、一枚580円だったのでつい買ってしまったCD(の一部)。
- 松任谷由実『THE DANCING SUN』(EXPRESS:1994.11.25.)
ユーミンは、安売りになっているなら買う、というパターンが続いている。改めて聴いてみたら(10)「春よ、来い」に、隠し味のようにジャングル・ビートが使われていたので、びっくりした。
- 電気グルーヴ『フラッシュ・パパ メンソール』(Ki/oon Sony:1993.05.21.)
電気は、守備範囲にしている人が近くにいるので....(^^;)。このアルバムは、ロック・イディオムのテクノ的解体〜脱構築、とか何とか適当なことをいっておこう。
- 1997.03.11.記:だらだらいろんな作業をこなしながら。
- THE ALLMAN BROTHERS BAND『FISHIN' FOR A GOOD TIME』(ブートレッグ:Midnight Beat, Luxembourg:1996)
オールマンは何といってもフィルモアの2枚組(CDでも2枚組)のライブが最高! というわけで、当然よく聴いていたのだが、今はアルカディアに「貸出中」なので研究室では聴けない。そんな折、中古屋であやしげなブートレッグのライブ盤があったので手を出した。1971年3月20日、ニューオリンズのThe Warehouseでのライブだが、おそらく以前にも別の形で出回っていたものだろう。(1)Statesboro Bluesは録音の悪さばかり気になって落ちついて聴けないが、だんだんと良くなり、(5)One Way Outあたりは絶好調になる。残念ながら、その後はやはり音の悪さがひどく素直に楽しめない。(9)Hot Lantaは特にひどい。でも(11)Stormy Mondayは、雰囲気がよく伝わってくる。全体に曲による当たりはずれがあるが、音量下げ気味で流している分には問題ない。トータル13曲/67分で1300円はお得かな?
- 1997.03.08.記:最近は日本語ラップを聴いている。
- BUDDHA BRAND『人間発電所プロローグ』(cutting edge:1996.05.22.)
BUDDHA BRANDは、イメージとは裏腹にトラックが「きれい」過ぎる気もするが、やはり日本語ラップのなかでも突出している。数日前は、研究室で(4)「大怪我[ILL JOINT STINKBOX]」1曲を繰り返し繰り返しかけていた。
- KING GIDDRA『空からの力』(P-VINE:1996.12.25=カセットテープ)
繰り返し繰り返しといえば、たまたまCDではなくカセットを買ったこのアルバムは、昨年末以来、車中でしつこくしつこく聴いていた。1980年代のオールド・スクールのテイストに通じるものを、日本語で、日本の状況の中で感じさせるギドラの存在は、日本語ラップの成熟の一つの証だと思う。特に、Zeebraの声とライムは魅力的。
(結局その後、CDも買いました。P-VINE:1995.12.10.)
- V.A.『今夜はラップダヨネ』(Ki/oon Sony:1995.06.08.)
(1)「今夜はブギー・バック(smooth rap)」、(7)「DA.YO.NE.」を含む、Sony系のお手軽なJ-RAP/party rapのコンピレーション....と思って資料のつもりで中古屋で購入したのだが、このCD独自企画=(5)濱田マリとAudio Sports「謝り上手」など、楽しめる佳作もあり、得した気分になった。
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