私的ページ:山田晴通
山田が聴いている音楽(CD)
(2007年)
山田は、ポピュラー音楽についていくつか文章を書いていますが、聴いている音楽の内容は、決して専門的だったり、マニアックだったりということはなく、浅く広く、表層的です。
好きな音楽、コメントすべき音楽について触れていくときりがないので、ここでは、研究室で山田がかけているCDの紹介を中心に、山田がふだん実際に聴いている音楽を、近況報告風に紹介していきます。
2006年度の途中から一年半ほど間が開いてしまいましたが、細々と続けようと思います。
もっとも2007年は、最後の数日分だけになりますが。
CD紹介は、書き込みが新しい順に並んでいます。( )内は、レーベルと発売年月日です。
このページでは、2007年に書き込んだ内容を保存公開しております。
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2007年
- 2007.12.30.記:記憶の彼方
- V.A.『オリジナル盤による戦前欧羅巴映画主題歌集』(コロムビア/ROCOCO:1989.11.21.)
戦前のドイツとフランスの映画主題歌のコンピレーションである。2枚組で、ドイツ篇とフランス篇、14曲ずつが収められている。資料として少し前に入手したものだ。トーキーが普及し、劇映画が一般的に有声化するのは1930年代であるが、このCDには、ディートリッヒ、ダミア、ジョセフィン・べーカー、ジャン・ギャバン、ダニエル・ダリューといったもはや歴史的な名優たちの歌声が収められている。まさに「黄金時代」(このCDの英語タイトルは "European Cinema Music of Golden Age")の歌声がつまっているという感じだ。
このCDは、解説も充実しており、歌詞は原語と訳詞で掲載されているし、今は亡き野口久光(1909-1994)の愛情あふれる解説文も読み応えがある。この時期の映画や音楽について講義をする際には、間違いなく有益な資料である。
とはいえ、こうした戦前のものを聞いていると、時々不思議な感覚にとらわれる。自分が子供だった1960年代に耳にし、また日本語の歌詞で覚えたメロディが混じっていることが結構あるからだ。例えば、「モン・パパ」"C'est pour mon papa"(2-2)は、コミカルな訳詞「うちのパパとうちのママは蚤の夫婦...」ではっきり記憶しているし、「水夫の恋」(「マドロスの恋」とされることもある)"Das ist die Liebe der Matrosen"(1-4) は、全くイメージが違う「平和の騎士」というスカウト・ソングとしてボーイスカウト活動の中でよく歌った。ほかにも、1970年代に入って中学生になってから英語で歌った "Mack the Knife" の原曲 "Moritat"(2-8) など、聞き覚えのあるメロディがちらほら聞こえてくる。要するに、1960年代から見た1930年代は、第二次世界大戦の存在にもかかわらず、今から振り返る1960年代よりも、より近しい存在だったということなのだろう。
□吉田 幸生のシャンソン索引:あくまでも一演奏家の個人サイトですから、過剰な期待は出来ませんが、シャンソン関係のサイトが少ない中では貴重です
- 2007.12.28.記:ブームから十年あまり
- 風林火山『大宇宙の風林火山』(パイオニアLDC:1996.05.22.)
王様『深紫伝説』(1995年)からはじまった「直訳ロック」ブームから、もう十年以上である。たまたま、しばらく貸し出されていたCDが返ってきたので、久々に聴いてみた。
こういうものは、ニヤニヤしながら聴き流すべきものだろうが、改めて聴いてみると、デジタル機器で構成された音の向こう側に、本家の音が剥けて見える。とんでもなく間接的にだが、1970年代のEWFの音がいかに先進的だったかと思い知らされた感がある。
直訳ぶりもなかなかだが、「9月」(3)の歌詞でどさくさ紛れに「お彼岸、おはぎ、お墓参り」と出てくるところは、なかなか良い感じだ。アルバムではなく、マキシシングル扱いだから、曲数(ネタの数)は少ないが、「9月」(3)、「のっとけ」(4)、「ブギの国」(5)、「妄想」(6)と大ヒット曲はフォローしてある。しかし、できれば「恋人に逃げられて」(?)のようなバラードも取り上げて欲しかった。
□珍盤探偵:王様など直訳ものを紹介したページで、このCDの画像もある(下から2点目)
□Earth, Wind & Fire Home:御本家の公式サイト
□風林火山:これは全く別のラップ・グループ
- 2007.12.27.記:聞き流してしまうスウィング
- Gene Krupa and His Orchestra『1938』(CLASSICS:1994.--.--.)
黄金期のベニー・グッドマン楽団の花形ドラマーとして活躍し、後にはトミー・ドーシー楽団でも演奏したクルーパ。映画『ベニー・グッドマン物語』でも、違和感なく若き日の自分自身を演じているのが印象に残る。
たまたま思い立って、このページを再開する気になったときに、iBookG4 に入っていたのがこの一枚。グッドマン楽団を離れて、自分の楽団を持ったばかりのクルーパの気負いはいかばかりだったかとも思うが、録音に残った楽団の音からそれを聞き取るのは難しい。正直なところ、可もなし不可もなしという感じで、特に引っかかりもなく聞き流してしまう。それだけ作業のBGM向きといえば、そういうことになるのだろう。
しかし、よくよく聴くと、スウィングからロックンロールへの補助線が見えてくるようなところが所々にあって面白い。「スキャット」歌手のレオ・ワトソンのテイストが、曲調をジャンプ系にしているようだ。"Nagasaki"(2) という日本人なら気になる題の曲や、もちろん同名異曲だが、"Tutti Frutti"(4) なんて曲も入っている。もちろんリトル・リチャードもこういう曲を聴いて育ったのだろう。
□The Gene Krupa Reference Page:
□Hepcat's blog:ドラムを叩くワトソンの映像があるという話
□YouTube: Don Redman - Nagasaki:最初に "Nagasaki" を歌う二人組の背の低い方がワトソンでは?という映像
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