私的ページ:山田晴通
山田が聴いている音楽(CD)
(2005年)
山田は、ポピュラー音楽についていくつか文章を書いていますが、聴いている音楽の内容は、決して専門的だったり、マニアックだったりということはなく、浅く広く、表層的です。
好きな音楽、コメントすべき音楽について触れていくときりがないので、ここでは、研究室で山田がかけているCDの紹介を中心に、山田がふだん実際に聴いている音楽を、近況報告風に紹介していきます。
CD紹介は、書き込みが新しい順に並んでいます。( )内は、レーベルと発売年月日です。
このページでは、2005年に書き込んだ内容を保存公開しております。
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2005年
- 2005.12.29.記:こんなもので年の締めくくりか...って思われそうだが
- 餃子大王『LIVE AT THE BOURBON HOUSE』(Extend Records:1989.07.15.)
珍屋で3枚100円の中から拾い出した。今聞くと、イカ天など、バンド・ブームの頃のよいところをもっていたバンドなのだとよく分かる(ただし、餃子大王は、イカ天バンドではないはず)。リアルタイムでは彼らのバックグラウンドについての情報が邪魔で素直に聞けなかったということかもしれない。こうしたバンドは、ライブに限る...ということだろう。ちなみにバーボンハウス(大阪)は有名な場所だったが、私は遂に一度も行く機会がなかった。
このコメントを書くために、少しネットを検索したのだが、餃子大王はまだ夏休みなどに活動を続けているらしい。兼業バンドとしては、スウィンギング・バッパーズに匹敵しそうである。
□ゆかいなロックバンド餃子大王:公認のファン・サイト
□COMIC INVENTION Official Home Page:ページの下段、1998年7月15日のエッセーでこのCDが紹介されています
- 2005.08.05.記:こんなもの聴く奴の気が知れない...って自分で思いながら
- RANK SINATRA『CHAIRMAN OF THE BORED』(V/Vm Test Records:2004.03.15.)
- NUUJ『PLAYS PACHINKO』(Carbon Records:2001.07.01.)
ついでにもう一枚、同じような聴き方をするのがこれ。大宮のパチンコ屋で、眼鏡に仕掛けたステレオマイクで拾った音をつなげたトラック1と、それにノイズの音塊を乗せたトラック2からなる。ノイズに負けないパチンコの環境音をすばらしいと感じられる人向け。トラック1はヘッドフォンで大音量にして聴くべしと解説した上で、そのままトラック2に入ると聴覚障害になりかねないから、音量落としてね、と何とも丁寧な注意書きがある。パチンコ玉をイメージした?小さなベアリングの玉のようなものが封入されているのもご愛敬。こちらは世界で75枚とか。
□carbon.records.mailorder:最初の1枚
- 2005.02.13.記:<パリ発「ワールド・ミュージック」>の記憶
- MORY KANTE『10 COLA NUTS』(Barclay:1986.--.--.)
80年代なかばに<パリ発「ワールド・ミュージック」>という(当時としても少々いかがわしい)ムーヴメントが日本でもヨーロッパでも盛り上がってから既に二十年になる。それが真正性とか、商業主義とか、様々なキーワードとの関係で議論を呼び、その中にはかなり陳腐で不毛な議論も含まれていた。しかし、非西欧地域起源の商業的音楽/ポピュラー音楽が、西欧〜先進国市場を意識して商品化され、当時の主流であった産業ロックなどに対するオルタナティヴとしていろいろな局面で機能したことは間違いない。
日本では、『ミュージック・マガジン』の影響力もあってか、インドネシアなどアジアの音楽への関心が80年代以降に高まったが、世界的なスケールで考えれば、西欧〜先進国市場の一般的な音楽ファンの間での知名度が急激に上がったのは、ユッスー・ンドゥール、サイフ・ケイタ、そしてモリ・カンテといった西アフリカのアーティストだった。
モリ・カンテのこのアルバムは、一般的には彼がブレイクした「イェケ・イェケ」の直前に発表されたもの。土着性を洗練させようという試みの出発点(少なくともそれに近い地点)なのであろう。本当はコンテクストを考えてきくべき音楽なのであろうが、そうでない聞き方を許容する爽やかさも備えている。
□前首相官邸:「『テン・コーラ・ナッツ』が,私にとってのモリ・カンテのベストアルバム」...という向風三郎さんの「おフレンチ・ミュージック・ クラブ」のページ
□アフリカの音楽と踊り:モリ・カンテの親戚というニャマ・カンテさんのサイト
- 2005.02.11.記:今風のピアノ・トリオ
- THE BAD PLUS『GIVE』(Columbia:2004.--.--.)
2003年の『These Are The Vistas』でメジャーでビューした新しい力技のジャズ・ピアノ・トリオ、ということになっているが、そういう理解でよいのか?
最初から順番に聞いていくと、クラシカルな音色を聞かせるかと思えば、意表をつくような旋律を響かせるシャープなピアノの後ろで、ドラムスがダイナミックに動いている。(4)「And Here We Test Our Powers Of Observation」に至っては、ドラムンベースのグルーヴを人力で叩き出すという離れ業である。ところが、ピアノが徐々に変態ぶりを発揮し、グロテスクと紙一重の微妙な美しさを感じさせる崩壊した旋律がのたうつかと思えば、いきなり曲調が転換するといった具合。特に(6)「Velouria」は、何じゃいな??と思わせつつ二転三転!!何回聞いても、とにかく変だ。お口直し?の(7)「Layin' A Strip For The Higher-Self State Line」を挟んで、懐かしのプログレを思わせるような(8)組曲?「Do You Sums-Die Like A Dog-Play For Home」が続く。最後は少しジャズらしく締めるということか、(9)「Dirty Blonde」は渋さ知らズにでもカバーして欲しい感じ。この流れで聞くと、アンコールというか、ボーナストラックという感じの最後の曲、ブラック・サバスをカバーした(11)「Iron Man」も、アコースティック・プログレ??に聞こえてくる。
ロック好きこそ聞くべきアルバムだ。
□MORA:「ギヴ」ザ・バッド・プラス:
□公式サイト[英語]:
- e.s.t.『SEVEN DAYS OF FALLING』(215 Records:2004.--.--.)
ザ・バッド・プラスと並べて言及されることもよくあるのが、スウェーデンのe.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)である。こちらはキャリアも十年以上と、結構長いようだ。
こちらも最初から聞いていくと、静かに始まり、つい「いかにも北欧!」とか思ってしまうのだが、表題曲(2)「Seven Days Of Falling」の途中で妙な音色にあれっ?と思っていると、(3)「Mingle In The Mincing-Machine」から本領発揮、軽快ながらアイデア盛り沢山の構成だ。大西洋の岸辺で夕日を眺めてから((4)「Evening In Atlantis」)、深く海中に潜る((5)「Did They Ever Tell Cousteau ?」)美しい展開が続く。特に(5)では、生音ではなくフィルターをかけた音が効果的に使われる。ベクトルの向きは、ザ・バッド・プラスとは逆なのか。
彼等の本領は、(7)「Elevation Of Love」のように、今風のドラムに美しい旋律がかぶる曲にあるのだろう。(8)「In My Garage」でさり気なく聞かれるドラムンベース並みの高速ドラムも、(ザ・バッド・プラスとは対称的に)ジャズの音に留まろうとしているように感じる。最後のトラックで、曲が終わって静寂がしばらくあった後、「Love Is Real」という歌ものが隠しトラックという感じで入っているのもオシャレだ。
こちらはジャズ好きのためのアルバムか。
□スウェーデン大使館投資部による紹介 e.s.t.:
□セヴン・デイズ・オブ・フォーリング/e.s.t.:
- JEAN-PHILIPPE VIRET TRIO『AUTREMENT DIT』(澤野工房:2004.--.--.)
ザ・バッド・プラスやe.s.t.と同じ編成ながら、リーダー=作編曲者(Jean-Philippe VIRET)がベーシストであるために「ベース・トリオ?」と突っ込まれているのがコレである。実はこの一枚しかもっていないのだが、普段は結構実験的な作品を創っているらしい。これは、一昨年の来日時に、スタンダードを中心としたアルバムを創らせた企画モノなのだが、中身はかなり濃い。
(1)「I'll Remember April」は彼等の本来のスタイルに近いらしいのだが、弓を使ってつむぎだされるベースの通奏音の間隙を縫って、ミニマルなピアノの旋律が響く。(3)「A Nightingale Sang In Berkeley Square」は割とおとなしい感じだが、冒頭からベースがアルコ(弓づかい)でゴリゴリ押してくるガーシュイン作品の(5)「I Got Rhythm」は、楽しい雰囲気に溢れている。
このアルバムは、今、東京で一番売れているジャズのアルバムらしいのだが、それが十分納得できる出来だ。
□AS044 AUTREMENT DIT ジャン・フィリップ・ヴィレ・トリオ:澤野工房の公式サイト内
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