研究の道具箱:山田晴通:韓国・北朝鮮の地名


慶州 キョンジュ Kyo^ngju

面積:1,319.73平方km
人口:280,384人(1994年末)
世帯数:84,329世帯(1994年末)

大韓民国南東部に位置する慶尚北道(キョンサンプクド)の都市。新羅王朝の古都(3世紀頃−935年)で、新羅時代には金城(キムソン)と呼ばれていた。また、高麗時代には東京(トンギョン)と呼ばれた。
周辺の山地から良質な石材が得られたこともあって、石造建築物や石仏などの遺物が多い。近郊には、新羅時代の史跡が多数あるほか、新羅以前に遡る遺跡も多く、慶州国立公園が広範囲にわたって設定されている。
韓国を代表する観光都市として、1970年代以降、博物館や公園、宿泊施設等の整備が進められた。国鉄・中央線と東海南部線の接続地で、国内の主要都市へ直通の特急列車が走っているほか、京釜高速道路も通っており、交通の便はよい。

市街地の南端の半月城(パノルソン)周辺は、新羅の王宮の跡地であり、その南隣には国立慶州博物館がある。半月城の北にある瞻星台(チョムソンデ)は、東洋最古の天文台ともいわれ(一説には634年建立)、韓国文化を象徴する遺跡とされている。市街地内や近郊には、200以上の王陵・古墳の類が散在している。市街地内の古墳(コブン)公園内にも、20基ほどの古墳が整備保存されている。

市街地南郊の南山(ナムサン)地区には、石仏・磨崖仏・石塔など、仏教遺跡が多い。これは、仏教を国教とした新羅が、首都防衛の拠点として南山城(ナムサンソン)を築く(591年)とともに、全山に100余りの寺院を設け、鎮護国家の聖地とした名残である。

市街地の南東15kmほどにある、吐含山(トハムサン)(745m)南西麓の仏国寺(ブルグクサ)は、韓国では、歴史も古く、また最も大規模な仏教寺院である。創建は535年、その後751年から大規模な拡張が行われ、現在の10倍ともいわれる大伽藍が造営されたが、1593年の壬申倭乱(文禄の役)で焼失した。その後、李朝時代に伽藍は部分的に再建された。現代に至り、学術的調査が進められ、1966年には、8世紀前半と推定される、現存する世界最古の木版印刷物「無垢浄光大陀羅尼経」が伽藍内の釈迦塔から発見された。その後、李朝時代の様式に則った伽藍の再建が進められ、1972年には現在の伽藍が完成した。仏国寺の周辺には、観光の拠点となる宿泊施設などが観光団地として整備されている。また、仏国寺からさらに山中へ9km入ると、8世紀半ばに、吐含山の岩盤をくり抜いて造営した石窟庵(ソックラム)がある。岩窟内にある釈迦如来坐像は、新羅仏教美術の最高傑作とされている。

市街地の西6kmほどにある人造湖・普門湖(ポムンホ)周辺は、計画的に開発されたリゾート地で、ホテル、国際会議場、遊園地、ゴルフ場、マリーナ、水族館、美術館などがある。1993年には、韓国の金泳三(キム・ヨンサム)大統領と、日本の細川護煕首相の会談が、ここで行われた。


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