研究の道具箱:山田晴通:韓国・北朝鮮の地名


済州道 チェジュ Cheju

面積:1,821.21平方km
人口:511,019人(1994年末)
世帯数:150,769世帯(1994年末)

大韓民国の最南端に位置する道。
朝鮮半島の南端から南方80kmほど離れた韓国最大の島である済州島(チェジュド)が、全体で一つの道となっている
道庁所在地は済州市(チェジュシ)。古代には、島独自の国家があったが、高麗時代以降、半島の中央国家の支配下に入り、朝鮮八道のひとつ全羅道(チョルラド)に組み込まれた。独立した道となったのは、韓国の建国後である。
済州島は、漢拏(ハルラ)山(1950m)を頂点とする火山島(死火山)。標高が高いため、局地的降雨が起こりやすく、水資源に恵まれている。海岸線に近い場所には各地に湧水地がある。川は少ないが、南側の西帰浦(ソギポ)には、20mほどの落差をもった瀑布が2カ所ある。溶岩台地上の奇岩、海食崖、溶岩洞窟など、火山特有の景勝地が多い。
暖流の影響もあって気候は温暖で、特に南斜面は、北斜面よりも常に気温がやや高い。しかし、標高によって局地的気候は多様で、植生や土地利用形態も変化する。
産業としては、温暖な気候を利用した柑橘類などの農業、鉱物資源とその関連工業などがあるが、基幹産業は観光業である。 1948年の済州島四・三蜂起後の混乱から、島外流出を含め人口の大幅な減少が生じたが、1960年代以降は、観光事業の発展とともに、人口増が続いている。

1948年、南朝鮮の単独選挙に反対する南朝鮮労働党が組織した済州島四・三蜂起が発生し、朝鮮戦争後の1950年代半ばまで、弾圧とテロ、山岳ゲリラ活動が続き、のべ8万人の島民が殺されたとされている。今日でも、済州島は反中央の気風と結びつけて語られることが多く、半島には済州島出身者への差別意識が残っていると論じられることも多い。


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