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今回の旅行は、パートナーと二人の、まったく私的な観光旅行でした。また、パソコンも何も持たずに出かけ、デジカメで少し撮影をした以外は、何も記録を取りませんでした。ここでは、帰国後にまとめた行動記録を、日記形式で公開します。あくまでも、事後にまとめた記録であり、本来の意味では日記ではありません。 1バーツは2.8円くらいでした。 見出しに示した地名のうち、青字はその日に訪れた主な場所、緑字は宿泊地です。 | ||||||||||||||
■ 2009/03/15 (Sun) 全日空での海外フライト NH953便 機中 / Bangkok: HRC Bangkok Bangkok (near MBK Center): the Bed and Breakfast |
機中ではもっぱらゲーム(おもに「上海」)をするか、ウトウトと寝るかしていた。 午後4時過ぎにバンコク・スワンナプーム国際空港に到着。気温は30度くらいあるが、湿度はさほど感じられない。今はちょうどしのぎやすい乾期の最後で、観光のハイ・シーズンが終わったところだが、幸い、これから向かっていく夏の方ではなく、去り行く乾期の方に近い気候になっているようだ。 いったんゲートを出たのだが、ここで機内に帽子を忘れて来たことに気づく。少々手間取ったものの帽子を回収して、まだ明るいうちにワゴン車の「バス」でバンコク市内へ向かう。向かった先は、予めガイドブックで見当をつけておいた高架鉄道の「国立競技場」駅である。 高速道路を疾走する「バス」の車窓からは、色鮮やかなタクシーや、荷台に人を乗せたピックアップ・トラックなどが目立って見える。沿道には、日本では考えられないほど巨大な屋外広告の看板がいろいろ立っている。国王ラーマ九世の巨大な肖像がビルの壁面を飾っていたりもする。やがて市街地に入り、高速道路が高架になると、林立する高層ビルを遠望しつつ、4-5階程度の建物が固まった既存師が位置を見下ろす形になる。何だか、都市発展の「地層」を見ているようだ。 「国立競技場」駅周辺は、実際に到着してみると大きなショッピング・センターがいくつか集まった地区で、夕方の繁華街で人ごみがごった返している。地図を頼りに、(バックパッカー級よりややましな)安宿が並んでいる通りにたどりつき、入り口に近い方から順に部屋の有無と値段を聞いて回り、6軒で値段を聞いてから「the Bed & Breakfast」という宿に見当をつけて部屋を見せてもらい、すぐにここに決めた。受付にいた亭主と思しき、ちょっと町村信孝元外相に似た感じの無表情な男性が極めて実務的に旧式の(オンラインではない)クレジットカードの伝票を切ったのが、印象的だった。支払いを先に済ませて、3階の一番奥に当たる308号室に荷を降ろす。階段を上がるときには、各階をぐるぐる回る感じでちょっと危うく思ったが、部屋は非常出口のすぐ前で、ほっとした。 一息入れてから、7時頃に歩いて十分と離れていないハードロックカフェのバンコク店へ向かう。結局、なんやかやといろいろ買い物をして、かなりの散財をする。レストランでは、入ってそのまま突き当たりの、ビートルズのメモラビリアが集められている一角のテーブルにつく。おつまみのつもりで、普通の盛り合わせ(コンボ)と、タイ風コンボを頼む。次々に店員がやって来て、同行したパートナー(彼女は「ピンヘッド」である)とピン・トレードをしていた。やがてやってきた二つの盛り合わせは、いずれも結構ボリュームがあり、結局それだけで夕食が終わってしまった。9時を回るとハウスバンドの演奏が始まり、話もしにくい状態になる。結局10時近くに店を出て、宿に戻った。部屋にはテレビがないので、あまり夜更かしもせずに寝た。
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■ 2009/03/16 (Mon) ガイド Bangkok: Royal Palace, Wat Pho, Kaosan Road***, On Nok*** Bangkok (near MBK Center): the Bed and Breakfast |
やがて、かなり大型の、乗客が二百人くらい乗れそうなボートが来て、チュラロンコン川を遡行することになった。手すりがついている程度で座席は外に剥き出しなので、写真を撮るには都合が良い。前方左舷側に陣取って、おもに右岸側の風景をカメラに収める。右岸側には超高級ホテルがいくつかあるのだが、それぞれ送迎用のボートを運航していて、そのデザインがなかなかおもしろい。また、タグボートに曵かれたダルマ船の列や、高速で飛ばしていく水上タクシー?など、大小さまざまな船が行き交うのも、見ていて飽きなかった。 指示された通りに王宮に近い桟橋で下船すると、確かに、こちらの名前を呼んで声を掛けて来た女性のガイドさんが待っていた。彼女に言われるまま、船着き場を出て少し歩き、ワンボックス車の「バス」に乗り込む。もうひと組、別のガイドさんがついた白人女性二人のグループが乗り込み、王宮まで連れて行かれる。着いてからは、それぞれのグループごとの行動なので、ガイドさんは、われわれ二人にだけ着いて回る。王宮は、タイ国民は入場無料らしいが、外国人は入場券を支払わなければならない。指示されるまま、一人350バーツで入場券を買う。結構、値が張るものだ。まず、博物館で王室所縁の品々を眺め、タイのコインのコレクションや、季節ごとに置き換えるエメラルド仏像などを眺めた後、順路に従って王宮内を見て回る。仏教とラーマヤーナと中国風の石造が入り混じる、タイ国の歴史的な立ち位置を実感させる意匠があちこちに施されている。メインのエメラルド寺院などを見た後には、回廊のラーマヤーナ壁画の修復作業を眺めたり、19世紀に近代化の波の中で建てられた西洋式の建物・チャックリー宮の前に不動の姿勢で立っている衛兵と記念写真に収まったりと、すっかりただの観光客であった。 ひと通り見終えたところで、最初の場所に戻り、しばらく待ってやってきた次の「バス」に、先ほどとは別のひと組と一緒に乗り込んで次の場所に行くことになった。市街地をバスは、市街地を北に進み、かなり交通量のある幹線道路に沿ってしばらく北上し、着いたところは宝石の販売場だった。何でも政府の肝いりでやっている公認の施設だという。なるほど、免税店に連れて行かれるのと同じ理屈だ。とりあえず、コーラの類を飲みながらビデオを見て、場内の奥へ進む。途中で、実際に研磨作業などをしているところを眺めながら奥へ進むと、喫茶スペースがあってその先が宝石売り場になっている。照明をやや落とし気味にした広いフロア全体にひたすら宝飾品が陳列されているが、いっさい価格が付いていないところが、怖い。ちゃんと日本語の話せる店員もいて、連れがいろいろ見ている間に、こちらはインテリアとして置かれている水槽の熱帯魚を眺めていた。 さらに先の、出口に近いスペースは宝石以外のお土産物を扱っているので、そちらへ移動し時間をつぶしていたが、ここへ我々を連れて来たガイドさんがどこにいるのか判らなくなっている。出口付近でキョロキョロしていたら、察しのよい従業員がガイドなら途中の喫茶スペースにいるはずだと教えてくれた。同じようにまごつく客がよほど多いのだろう。確かに喫茶スペースに彼女はいて、ガイド仲間と話をしていた。客がショッピングをしている時間は、ささやかな休憩時間のようだ。結局ここでは何も買わず。今度は我々だけのために「バス」が出されて最初の船着き場へ戻ることになった。連れがワット・ポーへ行きたいというので、どうやっていけばよいかと尋ねてみると、このまま「バス」で近くに回ってそこで落としてもよいという。好意に甘えるとしてワット・ポー前の船着き場(最初に降りたところより少し南=下流)まで回ってもらった。ここで彼女も一緒に下車し、船着き場の辺りで食事ができる場所を教えてもらい、そこで彼女とは別れた。 ガイドさんのお勧めに従って、船着き場の食堂に入る。聞こえが良いように言いえば、リバーサイドのテラス・レストランだが、要するに川の上に板を渡した上にある水上住宅の一部が食堂になっているのである。羽目板の隙間からはチュラロンコン川の濁った水面が覗いている。ここでコインをぶちまけるようなことは絶対にしたくないような状態だ。しかし、席について気づいたのだが、客はほとんどが外国人観光客だ。もしかすると Lonely Planet あたりに載っているのかもしれない。ここでは焼きそばとトムヤムクンを頼んだのだが、かなり美味しい。本場に来た甲斐があった、という気がする。途中で席を立ってトイレに入ったのだが、ここは旅行中に経験した唯一伝統的なスタイルのトイレだった。電灯のない薄暗がりの中で用を足した後、バケツにおいてある水を汲んで自分で流した。その先がどうなっているのかは確認していない(ここは水上なのだが)。
宿でしばらく休んでから、高架鉄道の一日券がもったいないので、東西南北に十字にのびている路線のうちまだ乗っていない東と北の路線であるスクムウィット線に乗りに行こうという話になった。宿を出て、まず、東端のオンヌット駅まで出かけてみることにして、「国立競技場」駅からサイアム駅で乗り継ぎ、オンヌット駅まで行く。到着して、ホームから下を見下ろすと、何やらにぎやかな屋台村があり、移動式の遊園地(小さな観覧車や電気カート)やいろいろな趣向の射的場が並んでいる。ひとしきり冷やかしてまわり、ジャンクフードを食べたり、雑貨を買ったりする。ココナツのアイスクリームはなかなか美味しかった。 屋台村から、道路の反対側にあるテスコの入ったショッピング・センターへ移動し、雑貨や食品、食器など、いろいろ買い込む。手ぶらで来たのに、結果的に両手いっぱいの荷物になってしまい、北のモーチット駅方面へ行くのは断念して、11時近くに宿に戻った。連れが食事がしたいというので、近くをしばらく探索し、結局、24時間営業をしているチェーンの中華料理店で焼きそばを食べた。途中で連れが寝入ってしまったので、しばらくそのままにして、12時を回ってから宿に戻った。
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■ 2009/03/17 (Tue) 離宮を見る Bangkok: Vimanmek Mansion, HRC Bangkok, MBK Center, Kaosan Road Bangkok (near MBK Center): the Bed and Breakfast |
朝は8時頃に起き、昨日より遅めに朝食に下りる。昨日と違って、白人の個人客が二人それぞれのテーブルについていた。9時過ぎに宿を出て、ヴィマンメーク宮殿に、「タクシー・メーター」、つまり、普通のタクシーで向かう。実は、昨日王宮の入場券を買ったときに、ヴィマンメーク宮殿の入場券も抱き合わせになっていたのである。事前に調べたわけではなかったのだが、開場時間の9時半を回ってすぐのタイミングで到着し、さっそく場内をゆっくり見て回る。もともと、日本でいえば明治天皇に当たるラーマ五世の時代に、西洋式の建築様式で設けられたこの離宮は、その後長く陸軍用地として使われており、もともと王族の個人住宅だった瀟洒な洋風の家屋は、将校住宅として使われていた時期があったという。そうした家が、王族の時計のコレクションとか、ラーマ九世の写真の展示館とかになって並んでいる。一つずつみていくと、結構時間がかかる。 ひと通り小さな家を見てから、中心となる巨大な木造の王の住居「ヴィマンメーク・マンション」に入る。ここは厳重に管理されていて、事前に荷物を預け、グループごとにガイドに従って見て回るという形式だった。グラバー邸とか、三笠ホテルを連想しながら見て回ったのだが、もちろん規模はその何倍もあり、むしろ欧州で宮殿を見学するときに近い感覚があって、特異な印象を受けた。後で調べたら、この建物はチーク材を使った建築物としては世界最大で、1980年代までは倉庫になっていたものを1990年代に復元改装したものということだった。
食後は、宝物殿のような展示館やら、王家の儀礼に用いられる巨大な石造の西洋建築の建物(美術展をやっていたのだが、別料金だったので中には入らなかった)などを見てから、入って来たのとは反対側の出口から敷地の外へ出た。ここでトゥクトゥクを拾っていったん宿に戻ろうとしたのだが、値段を吹っかけられたので、結局タクシーを拾って宿に戻った。 宿で一休みしてから、一昨日にも出かけたハードロックカフェに再度出かける。お土産にグラスが付くというので、コーラを注文し、さらに3階まである店内をひと通り探検する。帰りにはまたショップでまた買い物をした。ハードロックカフェを出て、宿に近い場所にあるショッピングセンター「MBKセンター」(東急百貨店が入っている)に行き、Tシャツ類などを買い、また、買い物の途中で、現地化したメニューのミスター・ドーナッツに入って、オールドファッションに抹茶クリームがついて海苔が振りかけられたものとか、ピザのような風味のクリームがついたものなどを食べた。最後に、フードコートに行って、エビ入り焼きそばとトムヤムクンを食べたのだが、実は、ここの食事は、今回の旅で一番期待ハズレになってしまった。 結局、部屋に戻ったのは8時頃。明日の出発が早いのでそのまま寝てもよかったのだが、連れがもう一度カオサンに行きたいというので、一時間ほど休んで着替えてから、タクシーでカオサンに向かう。結局、9時過ぎに着いて、12時頃まで、屋台で買い食いしたり、飲み屋に入ったり、露店で買い物をしたりしながらバンコク最後の夜を楽しむ。こんな時間でもカオサン通りは人ごみが溢れ、その中を、象使いに導かれた子象が歩いていたり、宣伝カーの役割を果たす昔の(自転車で曵く)トゥクトゥクで通りを進む人がいたりと、なかなかそれらしい喧噪だった。 タクシーで12時を少し回って宿に戻り、夜の宿直の男性に、明日朝5時には出発すると告げ、部屋に戻って休んだ。
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■ 2008/03/18 (Wed) 早朝出発で帰国便へ NH954便 機中 |
まだ外は暗い5時少し前に起き、荷物をまとめて1階に下りる。ロビーに陣取っていた宿直の男性から、タクシーを呼んである、400バーツだがよいか、と訊かれる。いずれにせよ、タクシーしか手段はないし、来た時に乗って来たバスが一人170バーツだったからリーズナブルだ。承諾して宿の前に出、荷物をトランクに積み込んでタクシーに乗る。走り出すと間もなく、連れは後部座席で寝込んでしまった。走り始めてしばらくしてから、運転手がメーターを入れずに、いわゆる「エントツ」で走っていることに気づいた。なるほどと合点がいった。 無事空港へ着き、スムーズに手続をして後は乗り込むばかりとなった。出発まで小一時間ほどを潰す事になり、免税店で買い物をする。スモーカーの知人用に、写真入りの警告文が入ったパッケージのマイルド・セブンをお土産に買う。 機上では、来たときと同様に、眠るか、上海に興じるかしていた。成田に着陸する際には、横風が強いので揺れる旨の機内アナウンスがあったが、思ったほどでもなく着陸できた。(しかし、その5日後に、フェデックス機の炎上事故があったときには、思い出して背筋が寒くなった。) 入国審査、手荷物受け取りとスムーズに通過して、ロビーに出て駐車場に電話をする。すぐに迎えのワンボックス車が来た。車での帰り道には、成田のイオンタウンへ立ち寄り、明日からレストランが休業に入るハードロックカフェ成田店に寄る。ひと月ほどかけて、スペースの半分位をカプリチョーザに改装するそうだ。確かに、厳しい立地だとは思っていたが、なかなか世知辛いものである。次にレストランに来るのはいつになるだろう。 |