明治大学 駿台地理談話会:2006.06.24. 情報化から考える地域の再編成 山田 晴通 (東京経済大学コミュニケーション学部:yamada@tku.ac.jp) 1970年代以来、過去30年あまりの間、「情報化」にはじまり、「高度情報化」「デジタル化」等々の用語が次々に社会に普及し、実際に私たちの身近には新しいテクノロジーに支えられた情報機器が浸透してくるようになった。かつて、テレビの出現が、地域社会における人々の接触のあり方を大きく変えたように、こうした情報機器、情報システムの普及は、私たちの社会関係、地域のあり方にも当然影響を及ぼしている。 この間、一方では、(情報化からは独立した社会的変化としての)モータリゼーションの普及や、人口構造の変化によって、地域は再編成の必要に迫られてきた。平成の大合併が象徴するように、こうした動向は、21世紀に入った現在、一つの区切りの段階を迎えつつあるように思われる。 私たちは情報化によって、かつてよりはるかに自由度が大きい形で、メディアを通じて情報を入手できるようになっている。これは経済学がいう「市場の透明化」が、限定的ではあれ徐々に進行していることを意味している。他方、メディアへの依存は、確実に広がりつつあり、伝統的にメディアへの依存が低いと考えられてきたコミュニケーションの領域においても、メディアの重要性は増しつつある。 今日的な地域のステイクホルダーは、地域住民ばかりとは限らないし、地域住民の日常生活がメディアから自立したノン・メディエイテッドなものであるとは安易には言えなくなっている。最終的には直接接触〜対話によって積み重ねられている人間関係〜社会関係にもメディアは浸透し、関係を変質させていく。そして、その影響は地域スケールにも及ぶ可能性がある。 配布資料: 山田 晴通(2003): インターネット時代の社会関係. FINANSURANCE (明治生命フィナンシュアランス研究所調査報),46,pp17-28. 関連文献: 山田 晴通(2001): <幻のコミューン>が形成される−「デジタル時代」の地域社会. 新聞研究(日本新聞協会),595,pp.63-66. 山田 晴通(2001): 地域の情報化から,地域の再構成へ.コミュニケーション科学(東京経済大学),15,pp.71-83. |