私的ページ:山田晴通
山田が聴いている音楽(CD)
(2003年)
山田は、ポピュラー音楽についていくつか文章を書いていますが、聴いている音楽の内容は、決して専門的だったり、マニアックだったりということはなく、浅く広く、表層的です。
好きな音楽、コメントすべき音楽について触れていくときりがないので、ここでは、このページ作成作業をしているマックで山田がかけているCDの紹介を中心に、山田がふだん実際に聴いている音楽を、近況報告風に紹介していきます。
CD紹介は、書き込みが新しい順に並んでいます。( )内は、レーベルと発売年月日です。
このページでは、2003年に書き込んだ内容を保存公開しております。
///(2002年)///(2004年)///(インデックス)///
2003年
- 2003.08.02.記:普通のライブの悦楽
- John Coltrane『A Jazz Hour With John Coltrane / My Favorite Things』(Jazz Hour [オランダ?]:1990.--.--.)
こちらは国分寺の「超山田堂」でやはり数百円で買ってきて、しばらく放っておいたもの。この店のメインからは外れているから、まあ掘り出し物といってよいだろう。これはEEC製とあるが、どうやらオランダ盤のようだ。
65分以上にわたって、「1963年頃ヨーロッパで録音」されたというコルトレーン+タイナー+ギャリソン+ジョーンズの「普通の演奏」のストレートな記録が聴ける。一部で録音状態が悪いのが気になるが、それも生々しさの演出であるようにさえ思える。ちょっとウェブで調べてみたら、このライブの録音を全部CD化した「デラックス・エディション」も存在するようだ。
あくまでも普通の演奏だから、メンバーのソロも冗長だったり、即興がうまく着地しない感じのところが結構あったりするが、そこが面白いという聴き方もできるだろう。深く浸って聴くのもよし、聞き流すのもよし。
□My Favorite Things [Jazz Hour]:1996年に出た米盤の紹介
- 2003.08.01.記:いいなあ、斑尾
- Candy Dulfer『Sax-A-Go-Go』(BMG:1993.--.--.)
立川の「いとうや」で300円で買ってきて、しばらく放っておいた。これは米盤だが、以前、ジャケットがもっと刺激的?な(たしか)邦盤をもっていたのが見あたらなくなっていたので、買ってみた。
聞き直してみると、90年代はじめの「ジャズで踊る」ノリが、なかなか心地よい。はっきりラップの類が入るものもあれば、けっこう保守本流風もありだ。個人的な好みは(8)「Pick Up The Pieces」アベレージ・ホワイト・バンドなんて懐かしいなあ。
でも何でもかんでもアシッド・ジャズに入れていいのかな?って、いつもの不毛なジャンル論になるので止めておこう。
こういう音をバックに、平井堅みたいなユーモアのあるヴォーカルで歌ものを聴きたいな、などと口走るのも、不毛な妄想になるので止めておこう。
(9)の最後のところのお遊びも洒落てる。
□.....イン・斑尾:今夜から、ひと稼ぎらしい
□Candy Dulfer:公式サイト、いきなりご挨拶が聞ける!
□Candy A GoGo!:日本語のファンサイト、いきなり流れるのは?
- 2003.07.28.記:時代の音
- ナット・キング・コール『イン・ザ・ビギニング(+4)』(ワーナー/MCA:1989.08.25.)
昔、フォーク・ブームが去ってしばらくした頃、フォークの時期に頭角を現し、いろいろなジャンルの音楽へと拡散して生き残った人々へのインタビューでは、ブームを振り返るような質問がよくあった。そうした問いへのありがちな答えは、「あの頃は時代がフォークだったから、とりあえずフォークをやった」といったコメントだった。
ナット・キング・コールの出発点が、スウィング・コンボだったことを記録した、初期の録音集である。1940年から1941年にかけて、デッカに残されたSP8枚分を集めたもの。ヴォーカルがまったくない演奏もあるが、スウィング・コンボとしての初期ナット・キング・コール・トリオは、当然ながら突出した存在ではない。歌ものも、その次の時代の完成度を知らなければ、取り立ててという感じでもない。
しかし、その後の彼のキャリアを踏まえて聞くなら、ここには素材の魅力が溢れている。
□Nat King Cole Society Inc.:ファンクラブの公式サイト
□The Greatest Hits on Nat King Cole:ヒット曲一覧
□ナット・"キング"・コール:なぜかブレント・スパイナー(データ少佐!)のファンサイトにあるページ
- 2003.07.24.記:わけがわからないまま揺さぶられるのがよい
- Buck Jam Tonic『Buck Jam Tonic』(Wilddisk:2003.07.23.)
一昨日(22日)、授業用にジョン・ゾーンを何か買おうというくらいのいい加減な気持ちでディスク・ユニオン新宿ジャズ店へ行ったところ、翌日発売のはずのこのCDが一押しでディスプレーされていて、店内でもガンガン鳴っていた。これは呼ばれていると思い、結局、マサダのファースト・ライブと、これを買う。BJT とは、何で???という感じの中村達也(1965年生まれの方=元ブランキー・ジェット・シティ)がドラムスを叩き、ゾーンとビル・ラズウェルに対峙するという、微妙なセッションである。一つ間違えば、ドミンゴと松田聖子みたいになりかねないと一瞬大変失礼な危惧をしたのだが、もちろん杞憂である。
こういうものは、あまり真剣に深く聴いちゃいけないような気がしているのだが、聞き流す分にはディスク2、特に(2-2)「Second Sight」辺りがよいと思った。
ちなみに、今回買った分は、ジャケットのゾーンの名前が誤って綴られている。ちょっと間抜けでインディーズらしく、好感を持った。
□LOSALIOS:中村達也のレギュラー・ユニット:BJT への言及もある
□TZADIK:ゾーンが主宰するレーベル
□The Unofficial John Zorn Homepage:充実した非公式ページ
- 2003.06.08.記:仕事がやけくそなときに聞く音楽
- Coverdale・Page『Coverdale・Page』(Sony:1993.03.18.)
締切厳守でどうしても落とせない仕事が捗らず、週末も研究室に缶詰状態。最初は灰田勝彦なんぞをかけていたのだが、やけくそになってきて、こんなものをかけだした。
ディープ・パープル第三期を支えたカヴァーデールをパートナーに、ペイジがゼッペリンの方法論を全開?させたアルバムである。同時代的には、醜悪な老人の金稼ぎと酷評されたし、この少し後には本家本元のペイジ+プラントで「アンレッディッド」が出てしまったので、このアルバムはますます分が悪くなった。しかし、そうした文脈を外れて素直に聞けば、明らかにプラントを意識しているカヴァーデールの頑張り加減も、ペイジの構成力もやはり大したものだし、安心して身を任せて聞くことができる。
個人的な好みとしては、(1)「Shake My Tree」とか、(6)「Feeling Hot」といったアップテンポの曲に、完成度の高さを感じる。でも、カヴァーデールのファンには悪いが、シングル・ヒットとなった(4)「Pride And Joy」などは、プラントの声でも聞いてみたくなる(ご免なさい)。
- 2003.05.30.記:
- George Lewis' Ragtime Jazz Band of New Orleans『The Oxford Series, Vol.3』(American Music:1991.--.--.)
数日前、授業用のCDを買いに、久々に新宿のディスクユニオンへ行った。ジャズが「山田ビル」を出て独立した店舗になってからは、初めての入店である。目的とは違ったのだが、2階の中古のフロアで見つけたのがこの1枚。1952年にオハイオ州オックスフォードにあるマイアミ大学で録音されたコンサートの後半部をまとめたものだという(しかし、オックスフォードとか、マイアミ大学とかいいながら、オハイオ州とは胡散臭い)。このバンドの演奏を集めたCDは、このコンサートの前半部をまとめたものを含め、この「オックスフォード・シリーズ」から他にも数点出ているようだ。
後年の再現とはいえ、今から半世紀前に、そのまた半世紀前を再現した演奏となれば資料的価値もある。ニューオリンズの葬式の雰囲気を再現する最初の数トラックは、埋葬や「セコンド・ライン」の音楽がどんなものだったかをリアルに聞かせてくれる(ただし、ピアノとウッドベースも入った音でではあるが)。もう数週間早く見つけていれば、授業でも使ったところだ。
(5)「Tiger Rag」などの定番もウキウキしてくる良い演奏だし、最後の(12)「Sheik of Araby」で会場を巻き込んでの合唱になる?辺りも楽しさが溢れている。
- 2003.05.24.記:
- SPEED『Starting Over』(TOY'S FACTORY:1997.05.21.)
このところコンビニで買い物をすると、彼女たちの再結成ライブの先行予約のポスターが目にはいる。1996年デビューの彼女たちだが、1997/1998年あたりがピークという印象なので、圧倒的な存在感だった時期は「半」昔前ということになる。SPEED というプロジェクトの最大の魅力は、少女から大人への微妙な以降期に、セクシュアルな揺らぎを感じさせずに、「元気で」「がんばる」「健気な」というイメージを編み上げたストーリーを紡いでみせたところだったろう。彼女たちの姿と歌声は、「少女」というジェンダーに「沖縄」という記号を重ね合せながら、人口統計学的に異なる受け手がそれぞれ異なる構図の中で消費した。
このデビューアルバムを聞いて見たのは、とりあえず彼女たちの音源として手元にあった唯一のCDだったからに過ぎないのだが、久々に聞き直して、サウンドにしろ、コンセプトにしろ、しっかりした色褪せない魅力がある。素材も上等だったのだろうが、何と言ってもプロデューサー/作詞作曲者の手腕が大きかったのだろう。一部の曲ではT.L.C.的に売りたかったという趣向が空回りしているが、J-Pop = ノリのよい歌謡曲としてよくできている曲がたくさんある。あくまで個人的な好みだが、(4)「STEADY」の詞は、当時も今も心にしみるし、リフレインのメロディも魅力的だと思う。
□GO! GO! SPEED:
- 2003.04.03.記:
- Ron Carter『Jazz, My Romance』(somethin'else/東芝EMI:1994.05.18.)
日本企画、ニューヨーク録音。ロン・カーターでもあまり例がないドラムレス・トリオ(b., g., p.)という一枚。共演は、相棒ケニー・バロン(p.)と、初顔合わせというハーブ・エリス(g.)。
ロン・カーターを最初に聞いたのはフュージョンの全盛期だった1970年代前半だったはずなのだが、その当時はジャズへの関心が薄かったので、彼のプレイを意識することはほとんどなかった。その骨太な演奏に徐々に引き寄せられたのは、ジャズ史の後追いでマイルスを聞いたりしていく中でのことだった。
このアルバムは、突出した感じは与えないが、肩の凝らない、リラックスした演奏がゆったり楽しめる。個人的趣味もあろうが、(3)「Airegin」〜(4)「Quiet Times」〜(5)「Summertime」の辺りは円熟味を感じさせて、何とも言えない。
- 2003.03.22.記:
- V.A.『HAWAIIAN STEEL GUITAR CLASSICS 1927-1938』(Arhoolie/Folklyrics:1993.--.--.[オリジナル録音は1920年代〜1950年代])
昨秋あたりから、研究室での作業の形態が少し変化してきたようで、CDを聞きながらパソコンに向かうといったことが少し減ってきた。また、CDも定番というか、既にここで紹介しているようなものをもっぱらかけていた。先週あたりから部屋の整理に手をつけ始めたのだが、そこで発掘したCDをかけてみたのがコレ。なかなか良いのと、別のに替えるのが面倒なのが一緒になって、数日間かかりっぱなしである。そろそろ替えようという気になり、半年近い間を置いてしまったが、久々にコメントを書くことにした。
ぼんやりと聞き流していると、少なくとも身体を動かす類の作業効率が上がる。よい音楽の本質は、やはり身体感覚の娯楽にあるのだなどと納得してしまう。(13) Palakiko & Paaluhi(Frank Ferera の変名だそうな)「Maui」など、ハワイアンに特に関心があるわけではない者の耳にも馴染みのあるメロディは、特に耳に心地よい。
収録曲のほとんど(26曲中25曲)は、1938年以前の録音で、「古典」の名に恥じない。ギターのインストゥルメンタル曲が主だが、歌入のものもいろいろある。(25) Hoot Gibson「Na Mo Kueha」は、戦前に灰田勝彦が「お玉杓子は蛙の子...」と歌ったメロディである。
□Arhoolie Records:
□2001.01.31.記:癒しというよりは脱力系だね:
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