一九九五年二月六日の準備大会を経て、組合員のみなさんの多大な御支援・御協力のもとに、七月十九日に組合は正式に結成されました。その間、各大学の専任教員のみなさんによる物心両面にわたる御協力・御支援は、組合結成に取り組んできた非常勤講師組合員に大きな力と励みを与えました。
今日、大学改革という名のもとに行われている様々な状態は、教学のパートナーである筈の非常勤講師に対して、残念ながら、極めて好ましくない方向に向かっていると言わざるをえません。
非常勤講師という立場が、かつてのプロモートの前段階から、ひとつの職業となっている現在、大学改革の中で、いかに教学のパートナーを守り育てるのかという問題が、厳しく問われねばならないところにきていると言えるでしょう。しかしながら、現状は必ずしもそうした方向に動いているとは思えません。
もし、大学が確固とした教学の理念を打ち立てることができず、パートナーとしての非常勤講師の立場、あり方を正しく認識しないならば、大学存続の足場を危うくすることになるでしょう。
幸いにも、非常勤組合の要請に対して、京滋の各大学から丁重な御返答を頂きました。今後、非常勤組合は各大学と充分な話し合いを重ね、一歩一歩肯定的な未来を切り開いていきたいと考えております。
今後とも、組合員のみなさんの御支援・御協力、また各分野の方々のご協力をお願いする次第であります。
表題を含む本が最近出版された。読んでいて、なるほどとうなずけることばかりである。作者はずいぶん悲哀を感じてこられたことであろう。今の私たちに、ずばりあてはめることができる。
私たち非常勤で授業を受け持っていても、それなりに授業の準備や下調べに時間とお金をかけて、万端用意を整えて授業にのぞんでいるのに、その、いわゆる研究費というものがなく、毎月の手当の中から捻出している。こうした書籍代とか、学会や研究会のための費用とかは、一切、税金の控除対象にならないものである。また、年金とか健康保険なども、一切自己負担である。これらのことは表題の文章の中では述べられていないが、作者も同じ気持ちであったにちがいない。私は、心ひそかに、せめて一コマあたり3.5〜4万円あれば、一応十コマ担当すれば、自分の研究のための時間がひねり出せるのにと思っている。
また、来年度の担当するコマ数も心配の種である。今、大学のリストラやら何やらで、持ちコマが減りそうな気配である。これも大いに収入に影響してくる。このような心配は、私たち非常勤講師には、いつもついてまわる。いつもいつも自転車操業のような私たち非常勤講師がいなければ、大学の授業が成り立っていかないのに、学問の府といわれている大学で、なぜこのような非民主的なことが起こるのか。実に不思議でならない。
専任の先生方と同じ様に、一所懸命に授業しているのに、他の職種のパート労働者よりもずっと悪い待遇に、いつまでも我慢できるのか。
こうした弱い立場にある私たち非常勤組合の結成を作者が知り、この文章の附記として紹介してくれている。
今、まだ力は弱いが、時の要求に乗って、私たちの組合を強いものにしていかなければならない。
皆さんの心強い団結の力を発揮してほしい。
当組合は12月20日付けの書信で、各大学理事会との集団懇談会への出席要請を、同志社大学、立命館大学、京都産業大学、龍谷大学、同志社女子大学、京都女子大学、京都学園大学、京都精華大学、京都薬科大学の九校へ送付しました。
私たちは、当初この懇談会において、通常の労使交渉の前に、関係各大学と山積する諸課題を整理し、双方の意志疎通をはかり、一致点を見出す場となることを願って準備を進めてきました。その際、組合の第1回大会で掲げた諸課題の内、当面緊急する課題として次の三点について、十分に話し合うことを目的として臨みました。
1)大学教育における非常勤講師の位置付けと社会的役割の問題
2)基本賃金の改善(ミニマム要求の1コマ3万円)、夏季・冬季一時金の支給
3)健康診断・社会保険などの非常勤講師の健康管理の問題
私たちは、大学教育におけるパートナーとして、大学「改革」を本当の意味での「改革」にすることを願っていますが、従来のような時間請負的なパートタイマーにすぎないのか、それとも専門的高度職業人としての役割を担う得るのかということを大学当局に問いかけてきたのです。
しかし、残念ながら1月25日の集団懇談会はすべての大学が欠席しました。急遽、当非常勤講師組合と私大教連との合同会議として今後の対応を練り直す会としてもたれました。まず、当組合宛に送られてきた各大学(学校法人)理事会の回答書を明らかにし、懇談会開催までの私大教連の組合を通じた大学当局側への働きかけの状況などが報告されました。各理事会の回答書はおおむね次の通りです(裏面に原文掲載)。
同志社・龍谷大学ー大学独自の課題であるので、直接意見を聴きたい
立命館大学ー「労使交渉を前提に話し合いを行う場」に一同に会する方法は馴染まないので欠席する。
京都産業大学・京都精華大学ー開催には欠席します。
このような状況を踏まえて、会では今後の対応を協議しました。各理事会が、話し合いは集団ではなく個別開催を要望しているので、私たちもこれを尊重して96春闘を視野に入れながらできるだけ早期に個別懇談会を実現することを確認しました。
さらに、私立大学をめぐる状況報告の中で、京都産業大学で、非常勤講師の解雇問題が起こっており、当組合委員長への問い合わせの電話が多数あること、また京都産業大学組合と大学当局との間にも緊張したやり取りが続いていることが報告されました。この問題としては、非常勤講師組合としても、組合員の利益を守るために奮闘することはもちろん、非組合員であっても、主体的に戦う姿勢を持つ非常勤講師とも連帯しながら、私大教連とも情報交換をし、今後の事態の推移を見守ることにしています。(一月二五日)
個別懇談会が以下の日程で開催されることが決定しました。
二月二一日 龍谷大学 二月二三日 同志社大学
なお、立命館大学、京都産業大学とは目下交渉中です。
同時に3月7日に第2回大会を開催することが執行委員会で決定しました。(二月九日)
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