ウイルス情報(デマ)はなぜなくならないか

 メーリングリストに参加していると、虚偽の内容のウイルス情報などが流されてくることがよくあります。

 たまたま2000年5月に、山田が参加しているあるリストで、「JOIN THE CREW」という以前から出回っていてよく知られたデマ情報が流れました。そのとき、そのリストに山田がポストした内容を(一部に手を加えた形で)紹介します。
 初心者へのアドバイスとしてお読み下さい。

ページ作成:2000.06.17.


(2000.05.09.)

ウィルス情報のデマが、ネット上でたびたび流れることについては、私見を少し述べておきたいと思います。
こうしたデマは、ある意味ではネット社会では必然的に繰り返されるものです。
この種の情報は、一度も同様の情報に出くわしたことがないネット初心者にとっては、リアルに受けとめざるを得ない内容ですし、文面の細かい部分でも、上手に受け手を信用させるような仕掛けが組み込まれています。(だからこそいつまでも生き残るのですが。)

例えば、文面の中には有名企業名が並び、この情報が信頼すべきものであるかのような印象を与える権威付けに使われています。
これが根拠のない記述であることは、各社のHPをチェックすればすぐ判明しますが、そのように丁寧な確認をする人は余りいないでしょう。

電子メールのコミュニケーションメディアとしての特徴の一つは、権威のある正しい情報を含んだ文書も、そうではない文書も、同列の一元的なテキストに並べてしまうところにあります。つまり、これが郵便物であれば、封書や便箋や書きグセなどから読み取れるその文書のもっともらしさについての手がかりが、ほとんど欠けているというのがメールというメディアの特徴です。
このため、普段信頼している人からこの手のメールが来ると、つい安易に信じてしまうことになりがちです。
したがって、ネット社会に新規参入者が流入し続ける限り、「古き良き」JOIN THE CREW も含めて、この手のデマが消えることはないでしょう。
こうした現象のうっとうしさから、ネットへの新規参入に際して何等のリテラシー教育を義務づけるべきだという主張をする人もいますが、それは不可能であり、また害の方が多いように思います。

このリストに参加されている多数の方々のように、ある程度なれた方には当然のことですが、
もし、
> > >> この文書をできるだけ多くの人に送ってください。
> > >> 出きればアドレス帳にある人全員に。
などと書かれた文書を受け取ったら、それは、それだけで百パーセント「デマ」です。

もし「デマ」ではなく、本当に、現在の技術水準を越えるような画期的で実害のあるウィルスが登場したとすれば、
その情報は、私たちのような、いわばネット社会の周縁部にいる一般市民が入手する前に専門家の間で問題となっていますし、関連する情報は、WWW上のどこかに(メールではなく)ページの形で存在しているでしょう。

最近では、マスメディアでさえ、ウィルス関連の報道をするようになっています。
私自身も、これまで、テレビ報道より先に問題となったメールを受け取った経験は一度もありません。(もし、受け取った経験があるとしたら、その方は、充分にネット社会のエキスパートでしょう。)

この手のデマを、メールで受け取った場合、
どうしても心配なら、ウェブ上で何か情報が出ていないか、確かめましょう。
また、デマを送ってきた発信者には、非難がましい調子ではなく、初心者にアドバイスするという感じで、デマであることを伝えてあげるのが良いと思います。

ちなみに、現状では、多くの実効性のあるウィルスは添付書類を開けることによって感染します。
したがって実際には、添付書類についてさえ注意をしておけば、実害を被ることはありません。
ということは、不必要に添付書類をつけてメールを送ることは、書類を見てもらえない可能性もありますし、場合によっては失礼に当たることもあります。(私自身、予め電話などで知人から連絡を受けて添付書類が送られることが判っている場合以外は、添付書類はごみ箱行きにしています。)
例えば、メーリング・リストに安易に添付書類付きのメールを送るのは論外です。
添付書類で送りたいようなデータ(画像や音声なども含めて)は、ウェブ上で公開して、URLを相手に流すのがよいでしょう。

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山田が受け取った「JOIN THE CREW」:日本語版


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