雑誌論文(その他):1997

日本の大学・学部一覧[CD-ROM版]について.

コミュニケーション科学(東京経済大学),7,pp83-85.


 本稿は、掲載誌である東京経済大学の『コミュニケーション科学』にCD-ROMが付録とされたのを機会に、当サイトがインターネットで提供している日本の大学・学部一覧の内容を、1997年7月現在でCD-ROM化したことについての解説である。CD-ROMの中味と、現在提供している内容には、当然いつくもの違いがあるが、基本的な構成はほとんど変わっていない。ここでは、1997年7月現在の日本の大学・学部一覧へのリンクは設けていない。
日本の大学・学部一覧[CD-ROM版]について.
 ■大学に関する基本的情報
 ■ホームページの探索

日本の大学・学部一覧[CD-ROM版]について.


   『コミュニケーション科学』にCD-ROM付録がつくという機会を利用し、東京経済大学の山田晴通研究室(以下、「当研究室」)がインターネットのサイトで提供している「日本の大学・学部一覧」を、1997年7月現在の内容をもとに紹介する。当研究室では、東京経済大学の学内ネットワーク環境が整備されたのを受けて1995年11月からインターネットの利用を開始し、1996年度からは研究室に独自のサーバー(http://camp.ff.tku.ac.jp/)を立ち上げている。「日本の大学・学部一覧」(http://camp.ff.tku.ac.jp/TOOL-BOX/JapanUNIV/front.html)は、このサーバーで提供されているリンク集であり、その一部に手を加えたものが、本誌CD-ROM付録に収録されているCD-ROM版である。インターネット版の「日本の大学・学部一覧」は、1996年7月から9月にかけて原型を構築し、8月から段階的に公開したものであるが、その後も継続的に更新を重ね現在に至っている(1)


  ■大学に関する基本的情報について

 大学の名称や、学部構成、所在地、電話、等々、大学に関する基本的情報は、手近にある名鑑・年鑑の類や、受験雑誌の資料集などによって知ることができる、また大学・学部の新設・改称などは、大学関係の業界紙に情報が流れている。これら雑多な資料の内容を集成して、各大学について提供する情報のフォーマットを構成した。具体的には、名称、所在地、電話番号、学部構成(大学院については研究科構成)を表示することとし、英文の検索ページも設けて、名称のローマ字綴りや英文名称から大学のデータや(存在している場合には)各大学の英文ホームページにたどり着けるようにした。当初の段階で、やっかいだったのは、大学所在地の確定と、英文名称の処理であった。
 受験関係の資料などでは、大学を都道府県別に分けている例が多い。しかし、大学のキャンパス複数化(特に複数の県にまたがる事例)、キャンパスと本部の分離といった近年の傾向によって、大学の所在地をどのように判断するかが難しい事例が出てきている。学部ごとの独自の事務局をもち、入試広報も学部(あるいはキャンパス)ごとに行っているような場合、どちらの所在地を優先すべきかは難しい(2)。はっきりした本部事務局が存在すれば、それを擁するキャンパスを主キャンパスと判断することができるが、一部の大学では本部事務局がキャンパスから離れて独立していることもあり、特に東京では、本部は都心に、キャンパスは近県という大学もある(3)。「日本の大学・学部一覧」では、個別の事例に即して、所在地とすべき都道府県を決定したが、それでも複数の県にまたがる大学については、必ずしも実感にそぐわない面も出てくる。そこで、新たに市町村コードによってキャンパスを検索できるように「索引:所在地別(市町村コード順)」のページを別途作成し、より実感に近い形で大学の分布を把握できるようにした。
 英文名称は、当初はホームページにおける記載と、NTT の英文タウンページを中心に、その他の資料も参照しながら確定していった。もちろんホームページにせよ、また自己申告制となっている英文タウンページにせよ、網羅的に全ての大学についてデータがあるわけではない。その上、それだけで調べた範囲でも、英文名称には相当の食い違いがあり苦慮することがあった(4)。1996年秋の段階で、財団法人日本教育協会(http://www.aiej.or.jp/)のページを見つけ、網羅的に英文名称をリストアップできるようになったが、正式名称以外の通称の扱いや、(日本語の)名称変更に伴う英文名称の変更の有無の確認などは、個別の対応をせざるを得ない(5)
 現在提供してる情報のフォーマットについては、受験者向けの情報提供を行うサイトが充実してきていることを考慮すれば、これ以上の拡大は必要ないと考えている。むしろ、名称変更、組織の改編、キャンパスの新設・移転等の情報を日常的に入手し、内容を更新していくことが今後の課題であろう。

  ■ホームページの探索について

 大学に関する一般的な意味での基本的情報と違って、各大学のホームページのURLを探索する作業は、ほぼ全面的にネットワーク上で行われることになった。例外は、日本経済新聞社(1996)からURLを知り得たごく少数の大学だけである。最初の構築作業を進めた1996年夏の段階では、まずYahoo! Japan(http://www.yahoo.co.jp/)を使って、カテゴリー「教育:大学」に取り上げられているページを一つ一つ見ていき、大学を代表すると判断されるページのURL収集に最も力を入れた。当時は、現在とは表示の様式が異なっていたが、先行する大学のURL集がいくつか存在し、それらの「名寄せ」作業をするところからはじめ、新たに出現した個別のページを追加していく作業を進めたのである。  「日本の大学の基本的情報・URLを探せるサイト」のページで、「URL集」に列挙されている各種のリンク集が、「名寄せ」の情報源となったサイト群とだいたい一致している。この段階では、「基本的情報集」として列挙している諸サイトの存在は認識していなかった。それだけに、1996年秋に、Yahoo! Japan が旺文社との協力の下に提供している「全国大学キャンパスガイド」が出現したときには、ある意味で衝撃を受けた。しかし、個人が維持する規模のページは、情報の絶対量よりも、情報の提示の仕方を工夫することでニッチを見いだすことができるのではないかと考え直し、公式ページがない大学について、これに準じるページを紹介する、といった方向で差別化を図ることにした(6)
 Yahoo! Japan を用いたページの探索が行き詰まってきた段階では、CSJ Index(http://www.iijnet.or.jp/csj/)を多く用いた。また、ac.jp ドメイン名のリストを見つけ、http://www.****.ac.jp の形で反応するページの有無を確認しもした。1997年春以降は、goo(http://www.goo.ne.jp/)のサービス開始により、大学名をキーワードとして検索をかけるという方法を多用した。特に、プロバイダ上に公式ページを持ち、なおかつ自主申告制のサーチエンジンに登録していないような場合には、goo の利用によってはじめて公式ページが発見されることになった(7)
 大学のホームページについては、既に山田(1997)において、主として広報機能という視点から現状の把握を試みているが、今後とも、公式ページか否かを問わず、新たなページの出現に注目するとともに、現行のページがどのように更新されていくのかも注意していく必要があるだろう。

文献

 本研究には、1996年度東京経済大学個人研究助成費(PR25-96)「研究室単位で管理するサーバーの運用実験」を用いた。
 本稿のテキストは、当研究室のページで公開している。(http://camp.ff.tku.ac.jp/YAMADA-KEN/Y-KEN/text.html



このページのはじめにもどる
テキスト公開にもどる
山田晴通・業績一覧にもどる   

山田晴通研究室にもどる    CAMP Projectへゆく