2005年度　青山学院大学「音楽史Ｂ」
（担当：山田晴通）

レスポンス・シートにあった質問と回答

	音楽史Ｂ
＜１＞	（09/27）初期Ｒ＆Ｂ、1940年代-1950年代
＜２＞	（10/04）Ｒ＆Ｒ誕生、1950年代半ば
＜３＞	（10/11）ティーン・アイドル、サーフィン音楽、1960年前後
＜４＞	（10/18）［休講］
＜５＞	（10/25）ビートルズ（１）
＜６＞	（11/08）ビートルズ（２）
＜７＞	（11/15）［休講］
＜８＞	（11/22）ビートルズ（３）
＜９＞	（11/29）ビートルズ（補遺）、ウッドストック、ブルースとロック
＜１０＞	（12/06）ハード・ロック
＜１１＞	（12/13）プロッグレッシブ・ロック
＜１２＞	（12/20）グラム
＜１３＞	（01/10）パンク
＜補講＞	（01/18）［補講２回分］

• Ｑ：パンクの定義がイマイチ分かりません。自分は漠然とパンクは社会に対して常に疑問点や反骨精神を持つ姿勢という感じで認識しているのですが...。また、現代にパンクの精神を持っているバンドはいますか？　それとパンクとメロコアの違いを教えてください。Blink-182のようなバンドはパンクなのですか？
• Ａ：
  授業の中でも説明したようにように、パンクの定義は極めて困難です。その精神性を重視する立場、時代性を重視する立場、様式としての特徴に注目する立場などが入り乱れて、何をもってパンクと判断するのか、千差万別の判断が出てきます。
  ここは音楽史の授業なので、そうした困難さを指摘した上で、あくまでも時代性を重視する歴史的な観点からパンクを見ています。そうすると、いわゆる初期パンク、特にＵＫパンクが重要だということになります。
  精神性に注目し「社会に対して常に疑問点や反骨精神を持つ姿勢」がパンクだと考えたとしても、パンク以外にそのような音楽が存在しないと考えるのは誤りだと思います。また、そのような意味で「現代にパンクの精神を持っているバンド」があったとして、その「バンド」はヒップホップのユニットになっているかもしれませんし、テクノのＤＪ集団になっているかもしれません。
  授業で取り上げた1970年代後半の英国を中心とした範囲のパンクが、最もパンクらしいパンクだとすると、そこで生み出された音楽の様式（あるいはファッション等を含めて）を踏まえて、その後の時代にそれを継承していくバンドは、精神性や時代性において、本物ではないという批判を受けやすくなります。また、様々なジャンル分け、新たなレッテル貼りを避けられなくなります。Blink182に限らず、Green Day、Sum41、Good Charlotte、ブルーハーツ、ハイロウズ、等々をどう評価するかは、立場によって結論が大きく異なってくるでしょう。1980年代以降については「パンク」という言い方を避け、全部「ハードコア」とする立場もあります。要するに、こうしたバンドは、パンクの定義によって、パンクに入ることも入らないこともあるのです。
  パンクの発展系の中では「堅い芯/中核」というニュアンスでハードコア（hard core）という言い方があります。メロコアというのは、「メロディック・ハードコア」つまり「パンク〜ハードコアの流れに位置するが旋律の要素を重視する立場」と一応は了解されます（ただし、この表現はあくまでも日本製の和製英語です）が、実際にはパンクの様式を取り込んだ、元気な若者向けのポップ・ミュージックといった感じの音楽です（もちろん、これは私の立場からの理解であって、これを「偏見」であると判断する人もいると思います）。つまり、メロコア＜ハードコア＜パンク［発展系を含む広い意味］という関係でパンクの方が上位概念（より広い概念であって、メロコアを含む）ということです（もちろん、これも私の理解であって、これとは違う判断をする人もいると思います）。
  

• Ｑ：パンク以前、ニューヨーク・パンク、ＵＫパンクの三者には、音としてのはっきりした違いはあるのでしょうか？　個々のバンドの個性が強烈で、この三つの枠の意味が分かりづらいように思いました。
• Ａ：
  あなたが気づいているように、今回取り上げたものに限らず、パンクではバンドによる差異が大きいですし、音だけでそれがどこのどの時代のものかを判別することは難しいと思います。上手く言語化できない雰囲気の差のようなものはあるようにも思いますが、これも例外が多々あります。つまり、はっきりした違いはないと考えるべきだと思います。
  授業の中で、三つの枠組みを強調したのは、パンク以前＝パンクが広がりのある動きと認識される以前にパンク的な音楽をやっていた、また直接・間接に後のパンクに影響を与えたバンドがいた（The Stooges）という段階と、ＮＹパンク＝アンダーグラウンド・シーンである程度広がりのある動きとして確立されていたが、広く一般に知られるようなものにはなっていなかった段階、そしてＵＫパンク＝全面的なブームとなって、その時代に登場した新しいバンドに広く影響を与えた段階というように、パンクが社会の中で占めた位置づけが全く異なっていたからです。
  実際の授業の組み立てとしては、実は順序が逆です。パンクは、1980年代以降にも、また、ニューヨーク以外の米国や、英米以外の諸国、そして日本でも、それぞれの時代、それぞれの場所で存在していました。しかし、パンクが社会的に大きな意味を持ったのは何と言っても1970年代後半の英国においてであり、これを中心に考えると、この時期のＵＫパンクに直接影響を与えた（特に、Ramones）ＮＹパンクについての言及が必要となり、更に遡って The Stooges にも言及したというわけです。
  

• Ｑ：ストレイ・キャッツはＵＫパンクに入ると思っていたけれど、ロカビリーとパンクは違うんですか？
• Ａ：
  ロカビリーは、1950年代にロックンロールが誕生した初期の時代に、カントリー色の強い、ヒルビリー（白人の田舎者）風のロックという意味で用いられた言葉です。1970年代後半の英国では、このスタイルを踏まえたネオ・ロカビリーというのが一つの動きになっていて、その最大のスターが The Stray Cats だったわけです（その中心だったのが、Brian Setzer）。また、The Clash の Joe Strummer も、元々はネオロカをやっていました。つまり、ロックの成熟・高度化への反動として、シンプルなロックを追求する、という地平では、パンクもネオロカも共通して根があるわけです。ネオロカは、決して大きな動きではなかったので、独立した別ジャンルとは考えずに、同時代のパンクの中におけるバンドの個性ととらえて考えるならば、「ストレイ・キャッツはＵＫパンクに入る」と考えてもあながち間違いではないかもしれません。しかし、通常は、パンクとネオロカは別ジャンルと考える場合が多いようです。
  

• Ｑ：「モッズ」というジャンルもあると思うのですが、パンクとの聴き分けがつきません。どう違うのでしょう？
• Ａ：
  モッズ（Mods）は、時代が違って1960年代のロンドンで流行したファッション、ライフスタイル、音楽を指す言葉であり、授業でも取り上げたバンドでいえば、The Yardbirds とか The Who などがそのような位置付けに置かれることがよくあります。構築性よりも衝動指向のロックであることは共通しているかもしれません。しかし、モッズと結びつけられる英国のバンドはブルース・ロック的な指向が強く、パンクとはサウンドの共通点は少ないように思います。
  

• Ｑ：1970年代半ばのイギリス、若者からリストラされる、っていうので、キューブリックの『時計じかけのオレンジ』もなるほどとクリヤーになってすごくよかった。"Anger is the Energy" というコンセプトも共通していて、あれはパンク的ですね、かなり。
• Ａ：
  『時計じかけのオレンジ A Cloclwork Orange』は1971年の作品ですから、むしろモッズの時代と言うことになります。しかし、作品自体が近未来ＳＦですから、こうした流れの中で見直すと、確かに面白いことが言えるかもしれません。
  

• Ｑ：The Clash の This is Radio Clash が Queen の曲（"... dust"？）に似ているような気がするのですが。
• Ａ：
  Queen の Another One Bites the Dust「地獄へ道づれ」（1980）のことだと思います。同時代の音ですし、音数の少ないオン・ビートで歯切れのよい曲構成が共通した印象を与えるのかもしれません。でも、全然違う曲だと思います。
  

• Ｑ：Vivienne Westwood の話が出ましたが、音楽とは別に、どのように評価されたのでしょうか？
• Ａ：
  詳しいことは関連するページを参照して頂きたいのですが、ちょうど1960年代のモッズ・ファッションの中から Mary Quant のようなデザイナーが頭角を現して一世を風靡し、現在では有名ブランドの一角を成しているように、Vivienne Westwood はパンクの時代のロンドンが生み出した、最も成功したデザイナーと言ってよいと思います。
  

（準備中です。申し訳ございません。）

• Ｑ：レッド・ツェッペリンはグリッターには入らないのでしょうか？
  ステージ上でのパフォーマンスはすごく派手というか、エキセントリックだと私は思うのですが。
• Ａ：
  レッド・ツェッペリンは、グリッター/グラムと時期的に重なりますが、彼らが注目されたのは、グリッター/グラムがブレイクした1972年より前です。また、確かにステージでのパフォーマンスは派手ですが、化粧の有無や衣装などを含め、両性具有性よりは男性性が強調されています。何より、音楽的な構築性、表現が、グリッター/グラムとは全く違っています。ただ、1970年代前半を指して「グリッター・イヤーズ Glitter Years」と言うような場合に、レッド・ツェッペリンへの言及があっても不思議ではないと思います。

• Ｑ：ハード・ロックとヘヴィ・メタルの違い（使い分け）はどう理解すればよいのでしょうか？
• Ａ：
  これには、いろいろな答え方があり得ますが、この授業では次のように考えています。
  １）1970年代には「ハード・ロック」という言及が優勢であり、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルがその典型と見なされていた。
  ２）1970年代末の比較的早い時期から「ヘヴィ・メタル」という表現で言及されたのは、ブラック・サバスやジューダス・プリーストなど、歌詞世界に悪魔崇拝などを盛り込んだものが中心だった。
  ３）やがて、ギター・ソロなどの速弾きや定型化された様式美を強調してバンドなども1970年代はじめの「ハード・ロック」と区別して「メタル」とみなされるようになった。
  ４）1980年代になると「メタル/ヘヴィ・メタル」の概念はかなり広くなり、「ハード・ロック」を呑み込むようになった。つまり、わざわざ「ハード・ロック」という言葉を使うのは、もっぱら「1970年代はじめのスタイル」という意味を強調したい場合になり、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルも「メタル」や「HM/HR（Heavy Metal/Hard Rock）」と分類されるようになって現在に至っている。
  

• Ｑ：レッド・ツェッペリンはグリッターには入らないのでしょうか？
  ステージ上でのパフォーマンスはすごく派手というか、エキセントリックだと私は思うのですが。
• Ａ：
  レッド・ツェッペリンは、グリッター/グラムと時期的に重なりますが、彼らが注目されたのは、グリッター/グラムがブレイクした1972年より間です。また、確かにステージでのパフォーマンスは派手ですが、化粧の有無や衣装などを含め、両性具有性よりは男性性が強調されています。何より、音楽的な構築性、表現が、グリッター/グラムとは全く違っています。ただ、1970年代前半を指して「グリッター・イヤーズ Glitter Years」と言うような場合に、レッド・ツェッペリンへの言及があっても不思議ではないと思います。

• Ｑ：長調のメタルってあるんでしょうか？
• Ａ：
  メタルの定義にもよるかも知れませんが、特に、メタルの定義が広がってハード・ロックを呑み込むことになった1980年代以降には長調の曲も「あります」という答えでよいと思います。
  確かに短調を用いた、陰惨な禍々しい感じがメタルには多いのですが、むしろHM/HRの特徴といわれるのは、長調とも短調ともつかない「パワーコード」の多用でしょう。

• Ｑ：今年のサマーソニックにディープ・パープルが出演しましたが、初期メンバーは既にいないようでした。何をもって「ディープ・パープル」と名乗れるんでしょうか？
• Ａ：
  サマーソニックで来日した時に、特別なメンバー編成ではなかったのだとしたら、現在のディープ・パープル（第8期：2002年以降）には、ドラムのイアン・ペイスしかオリジナルメンバーは残っていません。しかし、現在のラインナップには、オリジナルメンバーではないものの、ハードロックとしてブレイクした時期（第2期：1969-1973）を含め最も長くこのバンドのヴォーカルをしているイアン・ギラン、また同じような軌跡をたどったベースのロジャー・グローバーがいますから「初期メンバーは既にいない」というのは誤解だと思います。もっとも、一番肝心なギターのブラックとキーボードのジョン・ロードがいないわけですから、フレディ・マーキュリーのいないクイーンと同じようなものかもしれません。
  正直な所、バンド名の使用権（一種の商標権）を誰がもっているのかは正確な所は知りません。しかし、2002年にジョン・ロードが引退するまで、ディープ・パープルの名をもっていたは明らかに彼でした。現在のラインナップは、ロードの引退時点のメンバーで、キーボードが入れ替わっただけです。
  

• Ｑ：今日、かかった曲は、普通に音楽が好きな人なら、基本として聴いている楽曲たちだと思います。それを、2005年の現在になぜわざわざ大学の授業で取り上げるのか、その切口についてもう１回、確認してほしいと思います。
  ただ、音楽（ここでは様式としてのロックですか）史をなぞっているだけのように感じるので、その軸をただ１本だけにするのではなく、様々な（地理的、とか）切口でとりあげてもらいたいと思います。
  だって、発表年順に音楽をきいていくことは、古本屋で売ってる本をまとめれば誰にでもできることだと思うからです。そして、それでは、2005年に、40年も昔の音楽を聴くことの意味をあまりに限定してしまい、そこに授業としての意義を見出すことができません。
  ［この質問は原文のままです］
• Ａ：
  なかなか率直な、厳しい批判だと思います。しかし、同時に偏狭な立場からの批判であるとも思います。
  これは、教育学科の方からのコメントなので、そういう点も踏まえてお答えします。
  問題は、「...本をまとめれば誰にでもできること」に「授業としての意義を見出すことができ」ない、というあなたの認識にあります。確かに、この授業でやっていることは、授業で行わなくても学生が自力で自習し得る範囲のことです。その意味では、この授業が「本をまとめれば誰にでもできること」だというあなたの判断は正しいものです。しかし、そこに「授業としての意義を見出すことができ」ない、とするあなたの断言には賛成しかねます。単純に考えても、あなたの議論が正しいならば、教科書に書かれていることを授業する全ての授業、また、一般書レベルで多くの書籍に記述されている内容を講じる授業には意味がないという、奇妙なことになります。
  大学には、あなたのように自主的に学習する意欲と実践力をもった学生ばかりがいるわけではありません。また、あなたも、自分の関心がさほど強くないテーマについては、「本をまとめる」学習を自力で行うよりも、講義を聴いた方が効率的である場合があるはずです。
  この音楽史の授業は「青山スタンダード」科目であり、基本的には一般教養科目のひとつの形です。ある分野について、基礎的な知識を教授するというのが科目の課題である以上、この内容を授業に依存しなくても自主的に学ぶ実力をもった受講者にターゲットを合わせて授業するわけにはいきません。また、限られた授業時間の枠の中で内容を選択せざるを得ない以上、取り上げられる内容は相当に限定的になります。
  当然、受講者の中には、授業内容など自力で学べるという者も多いことでしょう。そのような科目の性格を踏まえて、自習を促せるように、参考文献を示し、また授業内容に関する情報を公開しているわけです。また、授業への出席点の比重を下げ、授業に出なくても自ら学んでいる者には評価を下せるように配慮しています。要するに、あなたにはこのレベルの授業は出席する必要がないということです。
  たとえ、あなたにとって意味のない授業であっても、授業担当者としては功利主義的に多くの学生にとって意義がある授業を心がけることが優先されます。とりあえず「今日、かかった曲は、普通に音楽が好きな人なら、基本として聴いている楽曲だちだと思います」というあなたの想定が正しいとすれば、この授業の受講者のかなりの部分はあなたの言う「普通に音楽が好きな人」ではありません。また、私自身は、あなたの想定が正しいとは思えません。実際、この授業では、時折挙手を求めて楽曲の認知程度を確認していますが、こちらが用意している楽曲でかなり一般的と思われるものでも、聴く機会がなかったという受講者は確実に存在しています。
  あなたが将来に何らかの教職に就くことがあったとして、学生/生徒の自主的な学習に期待できない局面がある場合、あなたはどう対処すべきでしょうか？　また、学生/生徒の自主的な学習能力にバラツキがあり、まったく矛盾した方向で学生/生徒から不満が表明されるとしたら（もっと手取り足取りやって欲しい←→自分で勉強できることで授業時間をムダにするな）、あなたはどう対処すべきでしょうか？　少なくとも、そうした「教える」ことの困難について理解できる感性がなければ（あるいは、想像力が働かなければ）、たとえ教育学を学問として修めても、現場で教育に当たることは難しいのではないかと危惧します。
  その上で、「2005年の現在にわざわざ大学の授業で」「本をまとめれば誰にでもできること」である「発表年順に音楽をきいていくこと」をすることの意義を説明しておきます。ロック音楽を含めポピュラー音楽は既に百年前後の歴史をもち、われわれの日常生活の中に深く浸透した文化の一部となっています。この文化について、代表的な事例に触れ、またその歴史的展開や社会経済的背景を学ぶことは、文学や他の芸術の歴史を学ぶことと同様に、大学レベルの教養として重要なことです。歴史を学ぶ上で重要なのは、多数の事実を丸暗記して覚えることではなく、歴史的事実の背後にある社会経済的な関係性について理解を深める所にあります。しかし、一方で、歴史的事項の固有名詞、基礎事項を十分に学ばないなら、歴史への考察は浅薄なものとなります。つまり、最低限、学ばなければいけない、丸暗記した上で批判しなければいけないものもあるのです。この授業で取り上げている楽曲は、限られた時間の中で、ぜひ触れておいてほしい作品であったり、あるジャンルの代表作品であったりします。それは十分な時間をかけて探索し、十分な貨幣を支払いさえすれば、誰でも市場で入手できるものです。しかし、現実問題として、多大多数の受講者にとっては、授業の際に初めて聴く音源であったり、授業内容との関連で聴取することで、何らかの新たな発見があることが期待される音源であったりします。21世紀に入った現在の観点から、かつて数十年前に特定の時代背景の中で意義をもった楽曲について、簡単ではあっても歴史的な背景の説明とともに音源を流していくことには、現在の若い学生諸君に、この分野の文化への関心を喚起し、また議論の骨格となる知識を教授する行為として、十分な意義があると私は考えています。

• Ｑ：先生は、学生時代に楽器を何かやっていたのですか？
• Ａ：
  もともとはロックよりもフォーク系の音楽の方が好みでしたので、フォーク・ギターは下手なりによく弾いていました。サークルなどで電化されたバンド形式で演奏するときは（ギターが下手なので）ベースに回るという感じでした（といってもチョッパーがまともにできないというレベル）。

• Ｑ：イギリスでは、当時、黒人音楽を取り入れていくことに対してアメリカに比べて抵抗がなかったのはなぜですか？
• Ａ：
  米国では、黒人を奴隷として扱い、南北戦争時の奴隷解放宣言後も、社会の中に黒人差別が強く根ざしてきました。1960年代に黒人の公民権運動が高揚する前は、特に公然と差別が存在していたといえます。そうした社会では、白人が黒人の音楽を真剣に学ぶことには強い風当たりが当然のように存在しました。これに対し、英国では、生々しい人種差別が顕在化しにくい構造がありました。これを単純に、英国には人種差別がなかった（少なかった）と結論づけることはできませんが、1960年代までの英国で、非白人の比率が比較的低かったことは事実ですし、その後の非白人人口の増加に伴って、多文化主義的な社会体制を構築しようとする政策が進められてきたことも事実です。
  しかし、何より英国ではブルースは、外国の音楽であり、多くの英国の聴衆はその歴史的背景を生々しく想起することなく、純粋に音楽として、いわば背景を脱色した形で聴いていた、という点が重要だと思います。

• Ｑ：歌詞カードの歌詞と英文の違いってどうやって生まれるんですか？
  やっぱりネイティブ風にきくためには自分で訳さなきゃいけないですか？
  ［この質問は原文のままです］
• Ａ：
  質問の意図を誤解しているかもしれませんので、二つに分けて回答します。
  （歌詞に、通常の英文と違う特徴があるのはなぜか？）
  歌の歌詞と、通常の英文では、表現に違いがあることはよくあります。歌詞では韻を優先して単語を選ぶという縛りが強くありますし（ビートルズの詞は伝統的な韻の約束事には忠実であることが多い）、文法的に辻褄が合わない文になっていても、poetic allowance といって、容認されることもあるからです。
  （歌詞カードにある日本語の訳詞が英文と違うことがあるのはなぜか？）
  これは、限られた情報と時間の制約の下で、ともかく訳を仕上げなければいけないという仕事になるからです。
  歌詞カードの訳詞を参考にして、理解を深めるのはもちろんよいことですが、ある程度それに頼らず、自力でも原詞を理解しようと努力するのは、さらによいことだと思います。
  

• Ｑ：ポール・マッカートニー死亡説は、どうして出たのでしょうか？
• Ａ：
  「ポール」「死亡説」などで検索すると、いろいろなページが出てきます。例えば、こんな感じです。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~DD2/Rumor/Paul_McCartney.htm

• Ｑ："Revolution 9" とかは John Cage の影響とかもあったんでしょうか？
• Ａ：
  あると思います。
  オノ・ヨーコは、レノンと出会う以前から、ニューヨークを中心とした前衛芸術運動の一翼を担っており、また、彼女の最初の夫が一柳慧であったことからもわかるように「音楽」という枠組みを相対化する試みが彼女の表現の中で大きな柱の一つでしたから、ジョン・ケージとも早い時期から親交がありました。テープのコラージュは、そうした芸術シーンの中で様々な形で試みられていた表現手段でした。
  ちなみに、1969年に発表された John Lennon & Yoko Ono『Life with the Lions』というアルバムには "Two Minutes Silence" という「曲」が入っています。これが、ケージの「4分33秒」を踏まえていることは明らかでしょう。
  

• Ｑ：個人的にリンゴ・スターがお好きだということですが、どのようなところが好きなのでしょうか？　リンゴのドラムプレイですか？
• Ａ：
  プレイヤーとして、とか、歌手としての彼の仕事ぶりも、無関係ではありません。しかし、私がリンゴのファンなのは、ビートルズの事情をたどって行けば行くほど、一番愛すべき人物はリンゴだと思えてくるからです。彼には、他の３人ほどの才能もなく、また、いわば偶々４人目のメンバーになっただけの幸運な人物と見ることも出来ます。しかし、彼は、強い個性を持った他のメンバー（特にジョンとポール）のぶつかり合いをしっかり受け止めつつ、天才たちの間に居合わせた普通の人として、賢明に振る舞ったように、私には思えます。
  また、ビートルズ後の人生においても、与えられたチャンスを存分に生かして、自分自身も好きなことを存分に楽しみ、また多くの人々を幸福にさせる人生を送っていると思います。うらやましいし、あやかりたいとも思います。

• Ｑ："Nowhere Man" に関して、なぜ、何のために声を多重に録音したのでしょうか？
• Ａ：
  ビートルズは、２枚目のアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』以降、多重録音の技術を活かして、一人のボーカルを２回録音して重ねるという「ダブルトラック」の手法を取り入れています。これは感覚的に「ヴォーカルに厚みを付けるため」などと説明されます。人間の声の質は一人一人違いますが、この違いを形作る要素としては音響的には音高の微妙なズレや、様々な倍音の出方の違いなどが、重要な意味を持っています。オーケストラで同じ楽器（奏者）を複数用意して音を鳴らすのは、音量を調整するという意味もありますが、多様なズレが音に複雑な「厚み」を与える効果を意識してのことと思われます。ピアノで一つの音に対して複数の弦が張られる（こともある）のも同じ原理です。「ダブルトラック」の手法を取り入れた古典的な事例としては、パティ・ペイジの「テネシーワルツ」（1950年）があります。（ウィキペディアの「オーバーダビング」の項を参照してください）
  また、ハーモニーを付ける場合も、複数の声が最も美しく響くのは、同じような声質である場合だと考えられています。エヴァリー・ブラザースなど、兄弟（あるいは姉妹）デュオのハーモニーが高く評価される理由の一端はここにあります。日本でも、1960年代にはザ・ピーナッツという女性の双子姉妹デュオが活躍しました。しかし、自分と同じ声質の人が見つからなくても、多重録音の機能を使えば、同じ人間が歌うのですから究極の美しいハーモニーができるという理屈になります。山下達郎はじめ、いろいろなヴォーカリストが、自分の声域の限界を意識しながらも、多重録音に取り組んでいる大きな理由がそこにあるわけです。
  "Nowhere Man" の場合、Lennon は おそらくこの内省的な歌詞の曲を基本的には自分の声だけで録音しようと試み、高音が納得行かなかったので McCartney の助けを借りたという感じがします（あくまでも、私の個人的な印象です）。
  

• Ｑ："Norwegian Wood" が「ノルウェーの森」と誤訳されたのは、どういう意図からでしょうか？
• Ａ：
  本当のところは分かりません。単純な勘違い、ないしは辞書の引き間違いである可能性が大きいと思います。
  洋楽の邦題づけや、ライナーノートなどは、当時は実は極めて情報が乏しい中で、ごく少数の人たちによって行われていました。当時のアルバムについていたライナーノート類で手元にあるものを見ても、歌詞の邦訳などは（解釈の違いとみなせるようなものではなく）明らかな誤訳が散見されます。
  
  なお、「ノルウェーの森」と「誤訳」をキーワードにして検索すれば、いろいろなページがヒットします。

• Ｑ：ビートルズが日本へ来たときの熱狂的な歓迎がやらせだったという話は本当なのでしょうか？
• Ａ：
  1964年2月に彼らが初めて米国に渡ったときの歓迎ぶりは、やらせの要素が強かったというのが現在の定説ですが、1966年の日本公演についてはそうした話はないと思います（あれば、ビートルズ来日のウラ舞台などに記載がありそうです）。
  

• Ｑ："You Really Got Me" はヴァン・ヘイレン Van Halen の曲だと思っていました。
• Ａ：
  オリジナルは The Kinks ですが、Van Halen 以外にもカバーされています。
  The Kinks は、The Who と並んで（？）本国英国や米国での評価が高いのに、日本では今ひとつ人気が出なかったバンドの双璧かもしれません。The Kinks を全く知らずに、Van Halen の曲だと思っても仕方ありません。確かにエディ・ヴァン・ヘイレンのライトハンド奏法を知るには絶好の曲でもあります。
  なお、一説に、"You Really Got Me" のギター・ソロはジミー・ペイジが弾いている、という話もあります。真相は藪の中ですが、蓋然性はある話です。

• Ｑ：それぞれの曲にそれぞれのエピソードがあるのは、どのアーティストも同じだと思うが、ビートルズの場合は何だかそれがものすごく大事なことのように語り継がれている、ような気がするのは私だけだろうか。
• Ａ：
  あなただけではありません。これは健全な感覚だと思います。誰もが、エピソードに満ちた人生を送るのです。
  しかし、「歴史に名が残る」というのは、その人たちのエピソードが「ものすごく大事なことのように語り継がれ」るということなのです。そして、何を重視すべきなのか、何が語られるべきなのか、という価値観が「歴史観」とか「史観」と呼ばれるのです。一般的に優勢な「歴史観」に全面的に盲従せず、一定の違和感をもつことは健全な感性の一部だと思います。

• Ｑ：ポール・マッカートニーが（リード）ヴォーカルをとる曲は多いのでしょうか？
• Ａ：
  ビートルズというと、確かにジョン・レノンのリード・ヴォーカルにポールがハーモニーを付ける、というイメージが強いですが、かなりの曲でポールのリード・ヴォーカルが聞かれます。
  Lennon/McCartney 作品には、実質的な共作のほかに、実はほとんどどちらかが一人で作った曲も数多く含まれています。ほとんどの場合には、曲づくりの主導権を握った者がヴォーカルをとっています。「ブラックバード」のような叙情的なギター１本の作品から、「へルター・スケルター」のような激しいものまで、ポールの歌声は幅広い表現力を持っています。
  ちなみに、ジョージは自作曲ではヴォーカルを担当します。また、リンゴもヴォーカルを担当している曲があり、なかなかとぼけた味がある声で歌っています。

• Ｑ：1960年代当時の英国のグループが、ヨーロッパで武者修行するという話は興味深かったのですが、今でもそんなことは多いのでしょうか？
• Ａ：
  あるかもしれませんが、1960年代のハンブルグのような状況が今でも数多くあるとは思えません。
  しかし、1970年代以降には、ドイツを拠点に活躍する米国人のミュージシャンがいろいろと輩出しました。例えば、Donna Summer はその代表格です。詳しく調べたわけではありませんが、1970年代以降は、英国人を米国人の代わりとして呼ばなくても、米国人が来るようになったということかもしれません。いずれにせよ、時期によって、状況は色々流動的であるようです。
  近年では、例えば、レイヴのＤＪは国際的にゲスト出演することが多々あります。他国の（無名）ミュージシャン/ＤＪが重宝される状況は、いろいろな形で存在しているのかと思います。

• Ｑ：今日、聞いた、The Quarry Men の演奏で音が悪かったのは、音源が古いせいでしょうか、単なる音響設備の不具合でしょうか？
• Ａ：
  両方あると思いますが、とりあえずは音源の限界です。

• Ｑ：今日、「WAR IS OVER」のＴシャツを着ていたのは、ビートルズの授業だったからでしょうか？
• Ａ：
  違います。単なる偶然です。「戦争は終わった」はジョン・レノンのビートルズ後の作品です（1971年）。少なくとも意図的に選んでいれば、このシャツは今回ではなく次の次に着てくるべきだったでしょう。

• Ｑ：今日聴いた曲はどれもバスドラムがかすかにしか聞こえなかったように思います。これは録音技術上の問題でしょうか、それとも音の好みでしょうか？　またどのように録音していたのでしょうか？
• Ａ：
  1950年代半ばの段階では、（ステレオではなく）モノラル録音で、（ダイレクトカッティングではなく）いったんテープに数テイクを録音してから使用するテイクを決め、原盤を作成する、という形が一般的でした。しかし、まだ細かい編集はほとんどされていなかったはずです。
  この頃までには、既に数本のマイクをミキシングして一つのトラックで録音することも行われていたはずですが、まだまだ１本のマイクで録音することが多かったのだと思います。こうした場合、一般的にドラムスは音のバランス上、マイクから離れた位置に置かれることが多く、ハイハットは聞こえてもバスドラムはこもって聞こえないという感じになりがちです。
  また、実はパーカッションについては、ドラムスを使わず、適当にそこら辺にあるものを叩いて、変わった感じを出すということもよくあったようです。アラン・フリードはラジオ放送で電話帳を叩いてリズムをとっていたそうですが、同様の話は当時の録音について、伝説的にいろいろな話があります。

• Ｑ："Bye Bye Love" はサイモンとガーファンクル Simon & Garfunkel の曲だと思っていました。
• Ａ：
  オリジナルは Everly Brothers ですが、Simon & Garfunkel もレパートリーとして取り上げていました。彼らのラスト・アルバム『明日に架ける橋』(1970) にもライブ音源が収録されています。
  2003年のＳ＆Ｇ復活ツアーでは、Everly Brothers の二人と一緒に歌うという機会もあり、このツアーの演奏を集めたボックス・セット『Old Friends』(2005)にも、収録されています。

• Ｑ：エレキギターが出てくるのは1950年代でしたっけ？
• Ａ：
  一番最初にギターを電化したのが、誰で、何のためだったかははっきりしていないようです（当時 Rickenbacher と称していた現在の Rickenbacker が1930年代はじめに最初に作ったのではないかという説もあります）。
  現在に直結してくる話としては、ギブソンが1936年に電気ギターを開発し、Charlie Christian がこれを使ってジャズ・ギターの可能性を広げたというあたりです。これはフルアコースティックと称されるタイプです。
  1952年に、まったくアコースティックな音響に依存しない（「ソリッド」な）電気ギターである Les Paul モデルが出現します。この新しいタイプのギターが、ロック的なサウンドを用意することになっていったわけです。
  とりあえず、The Gibson History（日本語です）を見てください。

• Ｑ：邦題は誰がつけているのでしょうか？　アーティスト本人は邦題がつけられることは知っているのでしょうか？
• Ａ：
  洋楽の国内盤を発売する場合、日本のレコード会社が国内市場向けのタイトルを付けます。従って、最初の質問への答えはとりあえずレコード会社、ということになります。しかし、実際には、レコード会社が国内盤を企画する過程で、解説や訳詞を用意したりするため関係を持つ音楽ジャーナリズム関係者や、権利関係の仲介をする音楽出版社のスタッフなどとも接触しながら、決定される例が結構あるようです。
  例えば、特に1950年代から1980年代まで長く影響力を持ったキーパーソンとして、漣健児（さざなみ・けんじ）のペン・ネームで知られた草野昌一がいました。今のように、情報の国際的な流通が自由ではなかった時代には、いち早く海外（特に米国）の音楽をチェックして、日本に紹介する窓口となるゲイトキーパーの役割が大きかったのです。
  契約で権利を獲得すれば、どういうタイトルを付けるかは、元の権利保有者の了解をいちいち取る必要はないはずです。坂本九の『上を向いて歩こう』が全米でヒットしたときのタイトルは『Sukiyaki』でしたが、これは、それより前に英国で、この曲に英語詞をつけてレコードを出したケースがあって、その際のタイトルを流用したものでした。アーティストの意向というのは、洋楽の邦題でもほとんど考慮されていないと思います。

• Ｑ：ベイシティローラーズとかもビーチボーイズのようなカリフォルニア色たっぷりだと思うのですが、年代とかは一緒なのでしょうか？
• Ａ：
  これは、正直な所、「釣り」かな、とも思うのですが、マジレスしておきます。(^^;)
  ベイシティローラーズ The Bay City Rollers は1970年代にアイドル的な人気を世界的に博した英国スコットランド出身のバンドです。特に1970年代半ばの日本では、ティーンの女性に異常なほどの人気で、音楽誌ではなく一般芸能誌が記事としてよく取り上げていたほどでした。
  ビーチボーイズとは、年代も背景も違いますし、はっきり言って、ほとんど共通性がないと思います。強いていえば、根本的に明るい曲調が多いということくらいでしょうか。
  ベイ・シティ・ローラーズ：ファンサイト

• Ｑ：今日聴いた曲は全部ウッドベースだったように思います。この時代にふつうのエレキベースを使ったバンドは少なかったのでしょうか？
• Ａ：
  この段階では、Ｒ＆Ｒに関する限り、ベースはアコースティックが主流です。
  私自身、こうした観点からきちんと調べたことがあまりないので断定的なことは必ずしも言えませんが、フェンダーが普及品の電化されたベース・ギターを作り始めるのが1951年で、それが改良されて現在の形になるのが1957年です。この頃には、ある程度までベース・ギターが普及していたと考えられます。特に、大音量で他の楽器がガンガン鳴るようなバンド、またジャズ色が強いバンドでは1950年代から電化されていた可能性が強いという印象です。
  History of Electric Bass というページの記述によると、ベース・ギターの奏者として最初に名をなしたのはジャズ畑の Lionel Hampton の楽団にいた Monk Montgomery だそうです。その後、1960年代にモータウンやブリティッシュ・インベイジョンの結果、ジャズ以外の分野でベース・ギターの優位が決定づけられたというのが、このページの記述の立場です。また、アメリカの場合に、重要な役割を果たした女性スタジオ・ミュージシャンとして Carol Kaye への言及もあります。

• Ｑ：初期のＲ＆Ｒはブルースとコード進行が同じものが多いようですが、何をもってＲ＆Ｒとブルースを区別すべきなのでしょうか？　歌詞とノリでしょうか？
• Ａ：
  まず、この場合のように二つの概念の境目を考える際には、どこかに明確な線があると考えるべきではありません。当然、両者の中間でどちらでもなくなってしまうものもあれば、両者のどちらでもあり得るものも出てきます。
  ブルースがＲ＆Ｂを含む概念であると考えるなら、Ｒ＆Ｒにもブルース様式に則ったものがたくさんあるということになりますし、後のまったく白人化したロックにおいてもブルースが課題であり続けるということになります。
  しかし、あなた自身も気づいているように、Ｒ＆Ｒは、８ビート（ないしシャッフル）が大きな特徴となってきますから、そのようなノリを共有しない（Ｒ＆Ｂと言いにくい）ブルースとは、やはり印象がずいぶん違いますし、古典的なブルースの12小節3行詩（ただし、第1,2行は同一が原則）は、Ｒ＆Ｒでは必ずしも守られません。そうしたところを手がかりに考えてみてもらえばよいと思います。しかし、より決定的な違いが、白人中心の音楽として社会の中に位置づけられるか、黒人中心の音楽として位置づけられるか、という局面にあることも、忘れてはいけないでしょう。

• Ｑ：授業で取り上げた "Sh-Boom" のように、黒人Ｒ＆Ｂを白人がカバーする場合、時間的にはほとんどずれがなかったのでしょうか？　盗作とか営業妨害とか言われなかったのでしょうか？
• Ａ：
  "Sh-Boom" のケースについては、以下のページに詳しい記載があります。
  http://home.earthlink.net/~jaymar41/Crows_Chords.html
  The Chords のレコードが白人向けの Pop チャートでも動き始めたところで、楽曲の権利を大手の音楽出版社が（おそらく悪くない金額で）買い取って、その上で The Crew Cuts や他の白人アーティストに歌わせる、ということでした。
  もちろん、この場合とは違って、古い曲をカバーすることも（Presley の That's All Right のように）ありましたし、パターンはいろいろあったのでしょう。しかし、"Sh-Boom" と同様の白人カバーはかなりの数に上ると思います。

• Ｑ：授業で言及のあった、1955年、1956年の年間チャートを詳しく教えて下さい。
• Ａ：
  以下の通りです。★は授業との関係で注目すべき曲です。

  年間シングル・トップ１０
  1955年	順位	1956年
  Cherry Pink And Apple Blossom White / Perez Prado	1	Heartbreak Hotel / Elvis Presley★
  ★Rock Around The Clock / Bill Haley And His Comets	2	Don't Be Cruel / Elvis Presley★
  The Yellow Rose Of Texas / Mitch Miller	3	Lisbon Antigua / Nelson Riddle
  Autumn Leaves / Roger Williams	4	My Prayer / The Platters
  Unchained Melody / Les Baxter	5	The Wayward Wind / Gogi Grant
  The Ballad Of Davy Crocket / Bill Hayes	6	Hound Dog / Elvis Presley★
  Love is Many-Splendored Thing / Four Aces	7	The Poor People Of Paris / Les Baxter
  Sincerely / McGuire Sisters	8	Whatever Will Be Will Be (Que Sera Sera) / Doris Day
  ★Ain't That Shame / Pat Boone	9	Memories Are Made Of This / Dean Martin
  Dance With Me Henry / Georgia Gibbs	10	Rock And Roll Waltz / Kay Starr

• Ｑ：無理なお願いですが、ビートルズのときに、ＣＤではなくアナログ盤でかけてもらえないでしょうか？　ＣＤの音をビートルズと思ってほしくないのです。
• Ａ：
  音色に敏感な、オーディオに強い方の意見ですが、残念ながら教室の環境ではアナログ盤を使うのは困難が多すぎます。
  しかし、それ以上に理解してほしいのは、同時代の人たちは、かなり悪い音質で音楽を聴いていたという事実です。もちろん1960年代にはステレオが普及し、音色の向上は長足の進歩を遂げます。しかし、それでもポピュラー音楽の消費者の大多数は、トランジスタラジオやポータブルのモノラル・プレーヤーなどでロックを聴いていたのです。その意味では、授業で音楽をかける場合も、必ずしもオーディオに凝る必要はない、というのが私の考えです。

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