東京地理教育研究会2002年6月例会(法政大学:2002.06.15.) ◎◎◎ 小規模メディアからみたコミュニティの姿 ―シドニーで考えたこと― ◎◎◎ 山田 晴通 (東京経済大学コミュニケーション学部) ■日本のコンテクストにおける「地域メディア」 ◇地域紙...県域よりも狭域を対象とする新聞...「一県一紙」体制 ◇無代広告紙(生活情報紙) ◇ケーブルテレビ...市区町村単位/区域独占を原則とする免許制度 ◇コミュニティ放送(FM)...市区町村単位を原則とする免許制度 ◇自治体広報媒体、その他 ■オーストラリアのコンテクストにおける「小規模メディア」 ◇地域紙...所有の集中 ◇無代広告紙(生活情報紙) ◇エスニック・プレス (在豪紙←→外国紙豪州版) 言語/文化的背景 ◇特殊な無代広告紙(ゲイ・コミュニティなど) ◇有料テレビ(衛星+ケーブル:地域自主放送は事実上欠落) ◇コミュニティ放送...非営利免許(1972/1992〜) ◇「ナローキャスティング」放送...営利免許(1992〜) ◇SBS...多文化・多言語の公共放送(1977〜) -2- ■移民大国オーストラリアの概要 ◇国勢調査などの統計 居住者の<出生地><言語><宗教>...「国民」の数は不明 ◇居住者の4分の1は国外生まれ 両親・本人がすべてオーストラリア生まれの者は半分しかいない ◇変化の大きい流入移民の動向 民族集団による移民時期の差異...白豪主義からアジア系受け入れへ 平均年齢の差異...統計はあくまでも出生地による判定であることに注意 ■シドニーにおける言語・民族性・空間性の複合 ◇シドニー大都市圏の概要 2000年現在 4085.6千人(NSW6463.5千人/全国19157千人) 統計単位としての大都市圏←→自治行政単位としての地方行政区(市など) ゲートウェイ・シティ〜グローバル・シティ 多文化主義の体現、タイム・ゾーンと言語環境 ◇大都市圏中心部における民族的セグリゲーション(実態/言説) 特定地区と結び付けられる民族イメージの事例 アボリニジ...レッドファーン (アボリジニのシドニーへの集中) イタリア系...ライカート など 中国系.......「チャイナタウン」 (都心の伝統的中華街) チャツウッド など (華人資本も絡む大規模再開発) 施設の立地〜生活インフラ(エスニック・ビジネス) 視覚的な存在感...標識としてのレストラン、スーパー 小規模ビジネス、不動産所有の移転パターン ◇民族性以外の空間的差異 選挙結果 (北=自由党・国民党連合/南=労働党) ゲイ・コミュニティをめぐる言説 -3- ■シドニーにおける小規模メディアの事例から ◇無代広告紙「TWT」と「タイムズ」グループ TWT: The Weekly Times http://www.weeklytimes.com.au Northern District Times http://www.northerndistricttimes.com.au ◇コミュニティ放送「2RRR」 2RRR: Ryde Regional Radio http://www.2rrr.org.au ◇ナローキャスティング「ボンダイFM」 BondiFM(日本語ページあり) http://www.bondifm.com.au ■想像のコミュニティ ◇行政的アプローチとしての「言語」を軸とした政策 言語別の補習学校...公教育に準じる位置付け 「多言語」放送...SBS、コミュニティ放送、ナローキャスティング ◇同一言語内の多民族性 郷愁としての民族性...英語系の諸集団 より生々しい連帯と分断...アラビア語系の諸集団 ◇集団の内からの視線←→外からの視線 シドニーの「ジャパニーズ・レストラン」をめぐる言説 日本食をめぐるイメージ ◇コミュニティの選択 <コミュニティに生きる←→背を向ける> ではなく、 <いかなるコミュニティに生きるか> が問われる |