山田晴通:担当講義科目:2000:
コミュニケーション論(相模女子大学短期大学部)のプリント
5月9日の講義内容の要点(2000.05.16.配布)
[一方向/双方向/フィードバック]
<一方向のコミュニケーション>
コミュニケーションは、もっとも基礎的な形では、
送り手 → 受け手
の一方向(単方向)の働きかけである。
<双方向のコミュニケーション>
しかし、電話の場合に典型的なように、
送り手と受け手の立場が容易に入れ替わるような場合、
言い換えれば、メディアに対称性がある場合には、
コミュニケーションは双方向的に行われる。
しかし、電話の場合にも、
両方が一度に言いたいことを話すことはまれで、
電話の両側にいるふたりは、交互に送り手と受け手の役割を果たすのである。
電話は典型的な双方向のメディアである。
これは、対称性に加え、即時性があるためである。
手紙で文通しているような場合、
一つひとつの手紙は、一方向のコミュニケーションだが、
文通で何通もの手紙をやりとりする行為全体を一つのコミュニケーションと見れば、
双方向のコミュニケーションとなる。
<フィードバック>
また、一方向の働きかけを中心としながらも、
受け手から送り手へもコミュニケーションが限定的な形で行われる場合もあり、
このような限定的な(非対称的な)逆方向のコミュニケーションは
フィードバック
と呼ばれる。
フィードバックの例:
新聞社や放送局への投書
講義に対する受講者の反応....その他いろいろ
[主体の多様性=個人/組織/集団]
<主体の多様性>
基本的なコミュニケーションの図式における、送り手・受け手といった主体は、
さしあたり個人であると考えるとわかりやすいが、
組織・集団・社会などを主体と見なして考えることもできる。
例えば、新聞社や放送局は、
ひとりの個人ではなく、
組織として情報発信を行っているのであり、
読者・視聴者=一般市民との関係では、
組織全体を一つの主体と見なして考えるのがよい。
また、新聞の読者やテレビ放送の視聴者は、
一人ひとりが個別にメディアに接触しているという意味では個人だが、
メディアとの接触の結果、
多数の人々が同じ情報を共有することになり、
共通した反応を示すような場合もあるので、
個人というより集団と考えた方が良い場合が多い。
多数の個人の集まりにはいろいろなものがある。
組織...多数の個人が、役割分担や指揮命令関係の下で共同作業をする。
集団...多数の個人の行動が、結果的にひとまとまりで捉えられる。
社会には組織としての側面と集団としての側面がある。
<個/多の組み合わせ>
個→個: 通常のパーソナル・コミュニケーション
個→多: 講義など
組織→集団 としての、マス・コミュニケーション
多→個....あまり考えられない。リコール投票など。
多→多....整理すれば、個→個 や 個→多 に分けられる。
メディア・コミュニケーションについての議論は、
もっぱら、
パーソナル・コミュニケーション
マス・コミュニケーション
のいずれかについての議論となっている。
パーソナル・コミュニケーションのメディアは、
コモン・キャリアとしての側面ももっている。
[メディアとメッセージ]
<ここまでの説明>
メディアは送り手と受け手をつなぐ、
物理的なモノや、仕組み、制度などであり、
メディアを通して、
送り手から受け手へと伝えられる
情報、意味、内容...として捉えられるのがメッセージである。
メッセージは、メディアという乗り物によって、
送り手から受け手へと伝えられる。
<メディア/メッセージ関係の相対性>
メディアとメッセージの関係は、固定的なものではない。
ある文脈でメディアと見なされるものが、
別の文脈ではメッセージ=メディアによって伝えられるもの
と見なされることはよくある。
紙片にメモを書いて、誰かに手渡すときは、
紙とインクがメディア
書いてある内容がメッセージ
と考えてよい。
しかし、紙片を封筒に入れて、郵送する場合は、
郵便システム全体がメディアで封筒がメッセージと見なすこともできる。
メール・マガジンはメディアであり、メッセージはその中身
という見方はもちろんできる
が、
メール・マガジンは電子メールの内容=メッセージの一つの形態で、
電子メールがメディアとも考えられる。
さらに、
電子メールはインターネットというメディアを流れる、信号の一つの形態で、
電子メールはメッセージとも考えられる。
家庭から接続している場合なら、
電話回線というメディアにとって、
インターネット関係の信号はメッセージとなる。
.....というように、
メディアとメッセージの関係は、相対的なものであり、
目の付けどころによって、幾重にも重層化する。
つまり、メディアが乗り物で、メッセージが乗っているものとすれば、
何(誰)が何に乗っているのかは、相対的な判断でしかない。
「フェリーの船中の車に乗っている人物」の例
.....「誰(何)が何に乗っているのか?」
<メディア/メッセージ関係の独立性と依存性>
一般的にメッセージは、メディアから独立している。
つまり、
どのメディアを選んでも、同じメッセージを伝えることができる。
.....休講連絡の例
しかし、別の見方をすると、
メッセージはメディアに依存しており、
メディアが異なれば、メッセージは同じではいられない。
後者の考え方について、
マーシャル・マクルーハンは
有名な文句「メディアはメッセージである」を残した。
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