Wikipedia は、インターネット空間にある百科事典サイトであり、何か調べものをする際に、出発点としてとりあえずの知識を得るためには大変便利なサイトですので、授業の予習・復習や、レポート作成の準備などで大いに活用してほしいと思います。しかし、Wikipedia は、通常の「紙の百科事典」とは異なる性格をもっています。このため、宿題レポートやゼミ論、あるいは卒業論文など(以下、「レポート類」)で、記述の一部を引用したり、記述の根拠となる参考資料(参考文献に準じるもの)として使う場合には、いろいろと問題が生じる可能性があります。このため、いずれの大学の授業であるかを問わず、山田が担当する科目のレポート類に関しては、引用や、参考資料としての Wikipedia の使用を原則禁止しています。このページは、この方針の具体的な詳細について説明しているものです。したがって、このページに記述されている内容は、いずれの大学かを問わず、山田が担当する科目すべてにおいて、適用されます。 以下、赤字の部分は、特に重要な内容の強調です。 |
Wikipedia の特性について Wikipedia は、多数の言語版を並行して展開しているサイトであり、単に、Wikipedia といっただけでは、Wikipedia の多くの言語版を含むプロジェクト全体を指しているのか、特定の言語版を指しているのかは判りません。また、記事名が日本語であれば、日本語版の記事への言及であろうと推測は出来ますが、例えば、「CBS」の記事であれば、日本語版だけでなく、英語版やその他の言語版も存在します。したがって、何語版であるかを明示しないと、その記事の記述に言及しているかは確定できません。 ウィキペディアの記事の記述は、ほとんどの場合は、いつでも誰でも書き換えることができます。新たな記事を作ることも、原則として、いつでも誰でもできます。このため、あなたが見た、ある記事の記述は、レポートの採点をするために山田が見ようとしたときには、全く異なる記述に書き換えられている可能性もありますし、記事が丸ごとなくなって、読めなくなっている可能性もあります。しかし、各記事の履歴ページを見れば、こうした書き換えの経緯を追うことが原則として可能です(ただし、法的な問題が指摘されたページなどは、削除されて後から見ることができなくなることもあります)。このため、ある記事のいつの時点の版を見たのか、あるいは、いつの時点でその記事を見たのかが判れば、記事内容を特定することが可能になります。 ウィキペディアの場合は、何語版の何という記事のどの版を見た,というところまで特定してはじめて、自分が言及しているものと同じ記述を、レポート等の読み手に確認してもらうことが可能になります。 |
適切ではない Wikipedia の使い方 以下に列挙するのは、レポートでありがちな、適切ではない Wikipedia の使い方です。以下の例はあくまでも設例ですが、いずれも、このページを設ける以前(2010年度まで)のレポートに見られた実例に基づいて構成しています。
|
Wikipedia の利用が認められる場合 上記のように、Wikipedia を、レポートなどの参考資料として挙げたり、引用元として使用するのは、多くの場合、好ましいことではありません。山田に提出されるレポートについて、このような行為があれば、大幅な減点の対象となります。しかし、下記に具体的な例を列挙するように、Wikipedia を利用することに必然性がある例外的な場合には、Wikipedia の利用を認めることもあります。
「言語、記事名、版(ないし閲覧時刻)」の具体的な表示方法は特に指定をしませんが、判りやすく明確に示すよう心がけてください。ただし、次の原則を守ってください。特に版(時間)の指定については、よく理解しておくように心がけてください。
|
どうしても Wikipedia を使いたくなったときは 上で述べた「Wikipedia の利用が認められる場合」にあたらないが、Wikipedia の記事に書かれている記述をレポートで使いたいと考えることもあると思います。その場合は、なぜ敢えて Wikipedia の記述を用いる必要があるのかを、レポートの中で判りやすく説明してください。ただし、そのような説明があっても、評価する側(山田)が必然性に欠けると判断すれば、大幅な減点となります。また、レポート等の締切まで時間に余裕がある場合は、できるだけ事前に山田に連絡をとって、そのような使い方が認められるかを確認してください。 Wikipedia の記事は、典拠のある記述によって構成することが原則とされています(ただし、これが十分に守られていない記事も多々あります)。きちんとした信頼のおける記事には、個々の記述の典拠や、全体の理解を深める参考文献が、記事の最後の方に明記されています。こうした記事の場合は、指示されている出典や参考文献の記述を使うことで、適切な出典を見いだすことができる可能性があります。別の見方をすれば、そのような出典や参考文献が示されていない記事には、記述内容に十分な信用がおけない可能性があり、レポート等の記述の根拠とすることは適切ではない、ということにもなります。 また、あまりお薦めはできませんが、Wikipedia の記事に書かれている内容と同趣旨の記述を含む別のページを、ウェブ上で検索するというのも,ひとつの方法です。使用したいと思った Wikipedia の記述と同じようなキーワードを検索して同趣旨の文章を探し、明らかに Wikipedia とは別の記述に、同趣旨の文章が見つかれば、そちらを参考資料として挙げることで、Wikipedia の使用を回避できます。ただしこの場合も、Wikipedia の記述を踏まえて記述されたようなページ(例えば、Weblio辞書など)は、Wikipedia の記述に基づいて自動的に構成されていることがあり、「明らかに Wikipedia とは別の記述」に当たりません。使えそうなページが見つかった場合も、Wikipedia に類似した記述がないかを必ず確認してください。 ただし、ウェブ上で見つけたページの記述と Wikipedia の記事の記述が同一であったり、酷似していても、そのすべてが「Wikipedia の記述を踏まえて記述されたようなページ」とは限りません。逆方向で不適切な書き写しが行われる可能性もあるからです。例えば特定の企業や団体についての Wikipedia の記事の記述が、その企業や団体の公式サイトの記述と同一であったり、酷似していることがまれにありますが、これは Wikipedia の記述が、著作権を侵害する不適切な書き込みによって構成されているのかもしれません。このような場合は、レポート等の典拠なり参考資料としては Wikipedia ではない方のウェブページを用いるとともに、こちらの Wikipedia の記事をよく読んで必要な対処をしてください。 |
Wikipedia の使用に関する宿題レポート等の採点方針 上で述べた「Wikipedia の利用が認められる場合」にあたらない場合、また、「どうしても Wikipedia を使いたくなったときは」にある指示に従って Wikipedia の記事に書かれている記述を使用したが、評価する側(山田)が必然性に欠けると判断した場合には、レポート等の評価を減点します。 従来、多くのレポート等で、参考資料と称して Wikipedia の記事に言及しながら、具体的な引用の表示がない例がありました。そのようにしてあっても、
一般的に、各授業の最初の方で課した課題については指示を十分に理解していない可能性を考慮して減点は小規模な範囲にとどめますが、それ以降は応分に大幅な減点がなされるものと理解してください。 |
推奨文献 * 日下九八(2012):ウィキペディア:その信頼性と社会的役割.情報管理,55-1、2-12. |
担当講義科目 関連ページへの入口にもどる
山田晴通研究室にもどる CAMP Projectへゆく