火垂
去年履修していた「身体表現」という授業の講師として来てくれた、河瀬直美さん監督作品。
河瀬さんの作品には彼女自身が強く現れている。
言葉。
彼女のルーツである土地。
家庭環境。
「につつまれて」や「かたつもり」で自分自身を見つめ、
アイデンティティを確立し、得たものを、さらに繋げていっているのだろう。
そして、自分探しをずっとずっと続けているんだろう。
今回の「火垂」はストリッパーと陶芸家の恋物語である。
イマイチ把握できなかったのが、二人がどうして好き合うまでに至ったのかということ。
私の想像力が足りないだけかもしれないが、謎のままである。
出会った場面までは分かるのだ。しかし、どうしてステディな関係に?
今年度も河瀬さんは講師として大学に来るらしいから、その時直接聞いてみよう。
そして私にとって意外なほど切なく、込み上げて来たのは、ストリッパーであるあやこの故郷の地名を聞いた時である。
「香川県坂出市川津町」
「香川県」
私にとっても故郷である。河瀬さんにとってもルーツを探る上で重要な場所。
フェリーで明石海峡大橋(だろう)を見上げる場面(私は明石海峡大橋の下はくぐったことない、上は通ったけど)。
高松港周辺の風景。(三宮までフェリーだと2000円しない)
坂出の蜜柑の樹。(五色台周辺かな?中学生の時オリエンテーリングで迷いまくった)
風になびく稲(まだ緑のころの、植えてから少し経ったころの)。
これらを、劇場にいた誰より、私はよく知っていると思った。
見なれているはずの風景を、映画館で、大画面を通して観て、涙がこぼれた。
悲しくなんかないのに。
陶芸家「香川?うどんくらいしか知らん...」
そうだうどんしかないよ。
でも私はうどん以外の香川を良く知っているよ。
私も自分を見た気がした。
ストリップ劇場の華やかな場面と音楽と、火が垂れている最初のシーン。
カレーを作ろうとお店でのあやことおばちゃんとの掛け合い、
カレーをあやこと陶芸家が食べる場面、
踊り子が街でストリップを始め、噴水であやこと陶芸家がキスするところ、
うどん屋?でコーラの瓶を譲り合う場面、
が印象深い。
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