粋がった、偉そうな題目に一行目からすでに私も逃げ出したい気分ですが、 たまには頭を使ってみようと思ったので、チャレンジ!ジョイ!であります。 私の所属している大学のシラバス(授業紹介)が今年度からCD-ROM化された。 紙媒体から電子媒体(という言い方でよろしいのか)への変化である。 今までは分厚めの冊子だった。学部によっては厚さ3センチくらいにもなっていた。 学生たちは春になるとそのような分厚く重い冊子を数日、 あるいは数週間持ち歩かなくてはならなかった。 今回のCD-ROM化によって上記の問題点は解決され、 薄く、軽く、場所を取らないという長所が採用された。 はっきりと調査をしたわけではないので、全体的な意見は把握できないが、 私はCD-ROMへの移行には否定的な考えを持っている。 なぜなら、情報でありながら「情報が入ってこない」からである。 端的に言うと、紙媒体だと自分が必要としている情報以外の、 必要とはしていなかった情報が入り、思いもしなかった情報に出会う可能性がある。 しかし、CD-ROMにはそれがないと思うからである。 紙媒体なら、電車やバスの中で、喫茶店で、歩いている途中にでも、 パラパラとページをめくり、手軽に情報を得ることができる。 しかしCD-ROMはそういうわけにはいかない。 まず、パソコンのある環境が必要である。 そして、パソコンを起動する必要がある。そのためには電気も必要だ。 薄くて軽くて手軽ではあるが、今のところ紙媒体より手軽な媒体ではない。 もし情報を何度も手軽に取り出すならば、CD-ROMの情報をプリントアウトするだろう。 説明が分かりにくくなってしまったのでまとめてみよう。 紙のシラバス:様々な情報が必要でなくても得られる。 CD-ROMシラバス:必要な情報以外の情報は得ることが困難。 (たいしたまとめでもなかったやん.....) ではなぜ媒体が変化したのだろうか。 大学に聞いてみなければ分からないが、やはりコストの問題が一番大きいのではないか。 紙に比べてCD-ROMの方が格段にコスト減になることは言うまでもないだろう。 CD-ROMの中身と装幀は見る限り外注だが、 紙のデータを用意して印刷に出すよりも安くなるのだろう。 コストの問題の他に、「IT革命」ばりのことやってるよーみたいな 象徴というか、外部に対する宣伝になるという意図があったのではないかと思う。 まあ新年度の始まりにこんなことをつらつらと考えていたわけですが、 (しかも私今年残単卒論だけというのに) この見解がそんなに外れていたわけじゃないことをある発言から確信した。 先日、大学内を歩いていたら、去年履修した科目の先生とばったり会った。 そこでシラバスについてしばしの立ち話になった。 先生「今年はあのですね、シラバスが紙じゃなくなったでしょ、 そのせいで知らなくて履修している人が少ないんだよ」 この先生の科目は人気があり、私も去年第一次の抽選で外れ、 第三次の抽選でようやく取れたのだ。 シラバスの媒体変化により、今までならいっぱいになる科目が今年度は残っている!! 今回の媒体変化は私にとって紙のよさを改めて再認識させられるものであった。 最初から紙がよかった私は我が儘を言って紙のシラバスを貰った。 一応CD-ROMは二回自分のパソコンで見てみたが、二回ともパソコンが固まった。 選択肢があればいいのに。紙か、CD-ROMか。 今は媒体の多様化が始まったばかりであるからだ。 媒体の変化が「上からの近代化」だけで終わってはならない。 考えなくてはならないのは「利用者」、すなわち学生なのである。 2001.4.19 1:12 AM * * * * back to basics +index+ |