山田晴通:いろいろな活動記録
2012.09.07.
インターネット上にある音楽情報資源とレファレンス・サービス―― Wikipedia とポピュラー音楽 ――
国立国会図書館の「音楽資料・情報担当者セミナー(平成24年度)」において講演した際の関連資料などへのリンクを集めています。
国立国会図書館「音楽資料・情報担当者セミナー(平成24年度)」2012.09.07.
インターネット上にある音楽情報資源とレファレンス・サービス
―― Wikipedia とポピュラー音楽 ――
山田晴通(東京経済大学コミュニケーション学部)
yamada@tku.ac.jp
*Wikipedia ?
- どのように使っていますか ?
- どういう仕組みかご存知ですか ?
- 記事の内容を信用していますか ?
*推奨基本文献(特に日本語版の現状について)
日下 九八(2012): ウィキペディア : その信頼性と社会的役割.情報管理 55(1), 2-12
(「Ks aka 98」という利用者名で日本語版管理者等を歴任している人物による概説)
*利用状況の調査報告
長塚 隆・神野こずえ(2011): 学生におけるWikipedia日本語版の利用動向.情報知識学会誌 21(2), 149-156
(高校生、大学生、司書講習受講者を対象とした小規模な質問票調査の報告)
⇒ほとんどが読者にとどまり、他言語版も参照されない
高校生は4割が信頼しているが、司書講習受講者はほとんどが信頼していない
信頼できない記事に出会った比率は、高校生1割、司書講習受講者半数弱
*Wikipedia の自己言及に見られる肯定/否定的評価
*Wikipedia の三大方針
真実であるかどうか、よりも検証可能であるかどうかが問題となる
⇒もちろん、中には方針がきちんと守られていない記事も少なからず存在する
まともな記事にはきちんと検証可能な記述の根拠=典拠がある
↓
典拠のない記事は「独自研究」として排除される ?
「参照方法」の問題
*インターネットと音楽情報
- 音源そのもの:有料/無料(違法・脱法を含む)
- CDなど音楽ソフトの商品情報△
- 歌詞、楽譜のデータベース△
- アーティストの公式サイト△
- (充実した)ファンサイト
- 個人サイト(ブログなど)における情報
- 学術文献★
- 新聞雑誌記事データベース★
- などなど…
⇒検索エンジンを利用すれば十分では?
⇒ネット上には、ノイズ(ゴミ情報)も多く、何らかのフィルタリングが必要
⇒コミュニティによる集団的関与を前提とした編集:履歴を見ることの重要性
記事作成の典拠になるのは★のみ、一定の範囲で記事作成の典拠に使えるのは△
*JAWP音楽関係記事
*Wikipedian / Librarian
- ウィキペディアにおける「専門家」の役割
- 専門家としての/専門家ではない図書館司書
↓
日常のレファレンス業務との親和性
司書がレファレンスに応じるのは、(通常は)その領域の専門家としてではなく、調べ方の専門家としてである ⇒典拠の探索は重要なスキル
- ウィキペディアへの小さな関与が記事の品質向上につながる
修正、加筆、ノートへのコメント、典拠の提示… 関与の方法は多様
- Librarian に呼びかけたいWikipediaへの参加:
「ウィキペディアの執筆、編集に参加する専門家が少しでも増えていけば、状況は良い方向に向かう、と楽天的に考えておきたい。」
⇒文句の多い利用者は、優良な編集者への第一歩を踏み出せる
⇒日常のレファレンス業務の中でWikipediaを活用し、その中で記事の修正・強化に貢献していく道が探れるのではないか
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