1997年度データ・アクセス法  (1997.01.20.緑川 賢)

データアクセス法課題2 

                             緑川  賢

           アジア紀行に関する文献表

 私の卒業研究は『インドが旅行者に与える人生観の変化を研究する』である。 それに伴い私が制作する文献リストは、インドを中心とした紀行記を読み様々な旅人 達の意見を調べることに意義がある。当初、インドにおいてのみの文献を読もうと考 えていたのだが、作家の中にはインドを含めたアジア地域を同時に旅している人が多 いため、自分もインドを含むアジア地域の旅に関する文献を集めることにした。なお 、文献に載せた本はたいてい読み終えたものだが、目を通してないものに関しては未 読とした。

         

             以下文献表

1、深夜特急【第1便 ・黄金宮殿】:沢木耕太郎:1985:新潮社、1200円

2、深夜特急【第2便・ペルシャの風】:沢木耕太郎:1986:新潮社、1200円

3、深夜特急【第3便・飛光よ、飛光】:沢木耕太郎:1991:新潮社、1300円

4、アジアン・ジャパニ ーズ:小林紀晴/著:1995.5:情報センター出版局、1400円

5、アジアン・ジャパニーズ2:小林紀晴/著 :1996 :情報センター出版局  

6、アジア旅物語:小林紀晴/著 :1996 :世界文化社

7、アジアロード :小林紀晴/著:1997 年 :講談社 【未読】

8、インド放浪:藤 原新也/著 :1980 年 :朝日新聞社

9、チベット放浪:藤原新也/著 :1978 年 :朝日新聞社 【未読】

10、インドでわしも考えた:椎名誠/著:1984 年:小学館 【未読】

11、もの食う人びと:辺見庸/著:1994 年:共同通信社

12、河童が覗いたインド:妹尾河童:1985年 新潮社、¥1200

13、バックパッカーパラ ダイス:さいとう夫婦:1995年  旅行人¥1700

14、旅のグ:グレゴリ青山:1996年 旅行人、¥1500

15、いくたびか、アジアの街を通り過ぎ:前川健一:1997年: 講談社文庫、¥705                         


16、ゴーゴーアジア: 蔵前仁一:1988年 旅行人、¥1700

17、沈没日記:蔵前仁一:1996年  旅行人、¥1500

18、旅で眠りたい:蔵前仁一:1996年 旅行人、¥1600

19、 インドは今日も雨 だった:蔵前仁一:1997年 旅行人、¥1530

20、インドへ行こう:長谷川まり子/〔著〕:1996 年:スタ−ツ出版 【未読】

                                           以上20冊

1、深夜特急【第1便・黄金宮殿】

 沢木耕太郎氏が20代の時の旅の記録。インドから乗合バスに乗ってロンドン まで行くのを目的に旅が始まる。本編は香港から始まる。沢木氏独特の視点で描かれ る描写は読む物を旅へと駆り立てる。第一便ではインドから出発するところまでかか れている。とにかく旅人でなくても勧めたい作品である。            

           

2、深夜特急【第2便・ペルシャの風】

 深夜特急の続編。イランから中東を中心とした旅。1作同様スリリングな展開 は読む物の気を引いてしまう。旅に付き物の観光名所よりも、人とのふれあいに目覚 めていく沢木氏は気持ち的にも徐々にすさんでいく様子が圧巻である。いずれにせよ 、猿岩石もこの沢木の旅をベースにしていたのである。             

3、深夜特急【第3便・飛光よ、飛光】

 深夜特急3部作の最後の作品。なぜか2作目が出てから5年という歳月をあけ た本編はいろいろと憶測を産んだ。しかしながらこの作品の登場を待ち望んでいた読 者は多い。内容は、トルコからロンドンまでの旅の記録である。読んでいてとても新 鮮だった、アジア中東地域に比べて、ヨーロッパ編の第3作は著者の心理的描写がと ても多くなる。そのせいか、エキサイティングさにかける。しかし、私自身この本を 持ってヨーロッパを旅したときは、沢木氏の歩いた道を辿っているようで本当に良か った気がした。        


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4、アジアン・ジャパニーズ

 元スポーツ新聞のカメラマンだった著者が、海外にいるバックパッカー達の写 真を撮りに行くという話。アジアンジャパニーズではタイとインドに著者が赴く。話 は2部構成になっていて、最初は本人も現地に赴いて写真を撮る物である。第2部で はその数年後の話で、著者が彼らのその後を追う話になっている。この話はどちらか と言えば、その国を感じるのではなく、人を感じるために外国に行くという話になっ ている。私的には、著者の行動力には感心するばかりだが、感傷的に書く著者の筆力 は疑問に思う。                               

5、アジアン・ジャパニーズ2

 アジアン・ジャパニーズに続く第2弾。本編では作者はベトナムにいき、そこ でフランス統治時代の影響を感じて思わずフランスに行ってしまうという話。ほんの 構成的には、アジアンジャパニーズと変わらない構成になっている。アジアンジャパ ニーズのできが良かったためか、何となく読んでしまったが。一作目を越えたような 気があまりしない。                             

6、アジア旅物語

 アジアンジャパニーズで旅した場所が忘れられず、再びインドやバンコクに行 く。出版社が違うせいか内容も、人物から風景や現地の人々との出会いを大切にした 物になっている。何となく深夜特急に似た叙情的な雰囲気も感じる。しかしながら元 カメラマンだった著者の写真はどこか趣があり、文章と写真のバランスは抜群である 。アジアンジャパニーズを読んだ人は、是非とも違った小林氏を読んでもらいたい物 である。         


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8、インド放浪

 ノンフィクションライターの藤原氏がインドでの情景を、写真と共につづった 作品。全部読んだ訳ではないので、正確なことは言えないが、何となく記録的な作品 である。                                  

11、もの食う人びと

 インドの食べ物屋に入ったら、出てきた料理がとても据え臭かった。よく見る とその肉には歯形がついていた。その店は他の店の残飯を再利用して料理を出してい たというエピソードはとても印象的だった。                  


12、河童が覗いたインド

 本業は舞台美術家の妹尾河童さんのイラストエッセイ。

 高校一年生の時に図書館で何気なく借り、夢中で読んだ。ヨーグルト売りや一 帖小間物屋や路地の様子、お寺や建築物や遺跡の話、雇ったリキシャマンの話、全て が微に入り細に入り描かれていて新鮮だった。鍵付きお弁当箱の存在を知ったのもこ の本である(笑)。

 情緒的なインド本が多いなか、この本は河童さんの飽くことのない好奇心によ って見事にインドの日常を伝えている。この作者はもう、全身が好奇心のかたまりの ようで、どーでもいいと思われるようなことにまでこだわって追求していて、それが また面白い。

 冒頭から、インドの紙幣に印刷されている14の公用語は一体何語なのか、と インド大使館まで出かけて調べている。細かいイラスト、特に泊まったホテルの部屋 の俯瞰図(上から見た図)は必見。時代的には70年代後半と80年代前半、と少し古いが 、全く色褪せていない。                           


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13、バックパッカーパラダイス

 小野まゆらさん、さいとう克也さんの夫婦ユニットによる漫画。アジア、アフ リカからヨーロッパまで、二年半かけて夫婦で世界一周した時の話。漫画という形式 だからこそ伝わるリアリティがいい。 私が訪れた場所もそのまま絵になっていて感動である。特にヨーロッパの情景なんか は本当によく描かれていて、今すぐ行きたくなっちゃって困るんである。また、行っ たことがない場所でも行った 気になれるお得な本でもある。
 全400ページ余りでかなり読み応えがある。もうすぐパート2が出版されるそうで 楽しみである。                                                                     

14、旅のグ

 京都出身の謎の旅人、グレゴリ青山さんの漫画。最近は週間モーニング誌で連 載を持っているので知ってる人も多いかもしれない。

 一見落書きのように見える絵でつづられた数々の旅話だが、読むうちに情景が 浮かんで来てとても楽しめる。進行のテンポがいいのだ。きっと会って話しても同じ 調子で楽しい話が聞けるのではないだろうか。‘気が付いたら参加していた話‘(旅 の途中で知らないうちに結婚式やらお葬式に参加してしまっていた)、‘インド映画 の話‘(かなりリキの入ったインド映画好き)、などなど。途中のイラストも、見逃し てしまいそうな風景を細かく見ていて面白い。                    

15、いくたびか、アジアの街を通り過ぎ

 情景が匂いたつような前川健一氏の本。旅本というより、タイの日常生活観察 者と言った方が良い著書の多い前川氏だが、最新刊のこの本では、円も安く、海外個 人旅行も一般的でなか った1970年代に地球を歩いた氏の回想録的な要素が強い。簡潔で淡々とした文が心地 よい。                        


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16、ゴーゴーアジア

 80年代という、世界が大きく変動した時期に、蔵前氏はアジアを歩いていた。 最近また危ういカンボジア情勢であるが、当時は旅行者に解放されるどころではなか った。そのカンボジアを、‘ベトナム戦争以後西側諸国で最初の旅行‘という夢のよ うなツアーで訪れる話、アジア三大バス地獄と名高かったクンジュラブ峠を越えてパ キスタンから中国に入る話、などなど、もし私があと十年早く生まれていたらやって いたかもしれない旅の話。                         

17、沈没日記

 本業のイラストレーター、グラフィックデザイナーより、旅行人として知られ てしまった蔵前仁一氏の本。そこに来てもいいよ、と言っている国があるから行くの だ、といってまだ今ほど自由には行けなかったカンボジアに赴く話、`放浪`という言 葉に対する 鋭い指摘、氏が旅の途中であった個性的な旅行人の話、日本のメディアが取り上げる アジアやアフリカのイメージに対する反発、などバラエティに富んだ内容。                                     

18、旅で眠りたい 

‘ゴーゴーアジア‘に続いて、89年〜90年に奥様の小川京子さんと一年間をかけ てアジアを横断した時の話。東京を出発後、神戸、沖縄を通って日本を出て、台湾→ 香港→タイ→インド→パキスタン→イラン→トルコと旅が続く。氏の他の著書が 短いエッセイ形式なのに対し、この本は一貫した読み物という感じである。世に紀行 記は多いが、蔵前氏の著書の特徴は何といっても、一旅行者の視点から見た本音の文 章であるという点だ。

 同じ旅行者として共感できる部分が多い。だいたい、インド辺りをちょっと旅 行すれば、誰でもそれなりの笑いあり涙ありの経験をするといわれている。でもそれ をここまでリアルな文章にするのはなかなか難しい。哲学的に書いたり、センチメン タルに書いたりする方が簡単なのではないかと思われる。それはそれで結構なのだが 、蔵前氏のようなノンフィクションが私は好きだ。               


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19、 インドは今日も雨だった

 蔵前氏の最新刊。氏の最初の旅本‘ゴーゴーインド‘から11年ぶりのインドの 本。今回はインドの中のチベット、北インドを訪れるお話がメインとなっている。独 特の文化を持つマラナという村を目指す。予想に違わず大変な道のりで、回り道した り足止めをくらったり、いつもながらノープロブレムで終わらない蔵前氏のインドの 旅である。


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